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スタンフォード、共鳴ナノアンテナで光をスローにして操作

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September, 16, 2020, Stanford--Nature Nanotechnologyの論文でスタンフォードの研究チームは、光の速度を大幅に遅くして意のままに光の方向を変える新しいアプローチを証明した。これは、音に対するエコーチャンバのようである。
 スタンフォードの材料科学、工学准教授Jennifer Dionne研究室の研究者はナノスケールバーに超薄シリコンチップを構造化し、共鳴する光を捕らえ、次にそれを解放する、あるいは方向を変える。この「高品質ファクタ」「高Q」共振器は、光を操作し利用する新しい方法につながる。量子コンピューティング、仮想現実、拡張現実などの新しいアプリケーション、光ベースWi-Fi、SARS-CoV-2などのウイルス検出さえも、新しいアプリケーションに含まれる。

「われわれは基本的に、光を微小なボックスに捕らえようとしている。ボックスでは、光は多くの異なる方向で出入りできる。光を多面ボックスに捕らえることは簡単だが、多くのシリコンベースのアプリケーションの場合のように、その側面を透明にするのは簡単ではない」と論文の筆頭著者、ポスドクフェロー、Mark Lawrenceは説明している。

ハイQナノ構造作製ではパタンデザインが重要な役割を担う。「コンピュータでは、どんな所与の形状でも非常に滑らかな線やブロックを描くことができるが、製造には制約がある。最終的にわれわれは、優れた光トラッピング性能の設計を見つけなければならなかったが、既存の製造法の範囲内だった」とLaurenceは説明している。

高Q値アプリケーション
その設計の応用研究は、様々な実用的アプリケーションで重要なプラットフォームとして研究者が説明するものになっている。
 
そのデバイスは、Q値で最高2500を実証した。これは、これまで同様のデバイスが達成した値よりも2桁大きい。Q値は、共振挙動を説明する大きさであり、今回の場合、光の寿命に比例する。「数千のQ値達成により、われわれはすでに、かなりの非常に素晴らしい技術アプリケーションではスイートスポットに位置する」とDionneは話している。

例えば、バイオセンシング。単一の生体分子は非常に小さいので、基本的に見えない。しかし、分子の上を数100、数1000回光を通過させると、検出可能な散乱効果を作る機会を大幅に増やせる。

Dionneの研究室は、この技術をCOVID-19抗原と抗体検出に適用することに取り組んでいる。「強力な光と分子の相互作用により、われわれは、単一のウイルス、多数の抗体の非常に低濃度を検出する機会がある」。ハイQナノ共振器の設計により、各アンテナが独立して、様々なタイプの抗体を同時に検出することも可能である。

パンデミックがウイルス検出への関心をかき立てたが、Dionneは、LiDARなど他のアプリケーションでも意欲を見せている。LiDARは、レーザベース測距技術で、自動運転車に使われることがある。この新技術は、それに貢献する。「数年前、この研究が関与する膨大なアプリケーション領域は想定していなかった。このプロジェクトは、基礎研究の重要性を強めた。基礎科学がどこへ向かうか、何につながるかを常に予言できるわけではないが、それは将来の課題に対する重要なソリューションを提供できる」とDionneはコメントしている。

このイノベーションは量子科学でも有用である。例えば、フォトンを分けて、エンタングルしたフォトンを作る。遠く離れていても量子レベルでの接続はそのままなので、一般に、高価な精密研磨された結晶で大きなテーブルトップ光学実験を必要とする。「それをすることができるなら、われわれのナノ構造を使ってそのエンタングル光を制御し成形するなら、いずれわれわれは、手のひらサイズのエンタングル生成器を手にすることができるだろう」とLawrenceは話している。

(詳細は、https://news-media.stanford.edu)