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プロトン伝導に応答して発光色をマルチカラーに変化する透明高分子膜の開発

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September, 10, 2020, 東京--東京理科大学理学部第一部化学科の田所誠教授、亀渕萌助教(現日本大学文理学部化学科)、大学院理学研究科の吉岡泰鵬氏(平成28年度修了)は、プロトン伝導によるプロトン(水素イオン)濃度すなわちpHの局所的な変化に応答して緑色〜黄色〜赤色の発光色を変化させる透明高分子膜の開発に成功した。

透明性の発光材料は、省エネ材料の一つとして照明、ディスプレイ、セキュリティなど様々な分野での応用が期待されている。特に高分子素材を用いたものは、サイズや形状の自由度が高いことから最近高い関心が集まっている。発光材料が発する光の波長範囲は種類ごとに決まっており、目的に応じて異なる材料を用いることができる。もし、同一の発光材料が条件によって異なる波長(=異なる色)の光を発することができると、応用分野が広がり大変興味深い材料になる。
 今回、研究グループでは、異なるpH領域で発光可能な2種類の発光性希土類錯体を使った。これらをプロトン伝導性の陽イオン交換高分子膜「ナフィオン」の中に取り込ませ、電圧の印加によって膜内部のプロトン濃度(=pH)を局所的に変化させることによって、緑色から黄色を経て、赤色に発光色を可逆に切り替えることに成功した。

この研究の成果を活用することにより、プロトン移動によってマルチカラーで発光するこれまでにない発光素子を作製できると考えられる。その他、イオン(プロトン)が伝導して発色の変化が見られることから、生体試料中の異なるpH領域を可視化する染色法としての活用や、生体中のpH変化を細胞レベルで検出するセンサの開発などにつながることが期待される。
 研究成果は、Materials Advancesに掲載され、掲載号のInside Front Coverに選出された。
(詳細は、https://www.tus.ac.jp)