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Science/Research 詳細

実際の人の細胞で使える心臓ポンプを3Dプリント

July, 31, 2020, Minneapolis--画期的な新研究で、ミネソタ大学の研究チームは、ラボで機能するセンチメートルスケールの人の心臓ポンプを3Dプリントした。その発見は、心臓病の研究に大きな意味を持つ。心臓病は米国では年に60万を超えるの人々の生命を奪っている。

過去に、研究者は、心筋細胞を3Dプリントしようとしたことがある。それは、いわゆる多機能人幹細胞から採ったものだった。多機能幹細胞は、体内のいかなる種類の細胞にも発展する可能性がある細胞。研究チームは、この幹細胞を心筋細胞に再設計し、特殊3Dプリンタを使って3D構造でそれをプリントした。いわゆる細胞外マトリクスである。ここでの問題は、心筋細胞が実際に機能するような臨界細胞密度に達しなかったことである。

今回の研究で、研究チームはプロセスを反転させ、成功した。

「最初、われわれは心筋細胞を3Dプリンティングしようとしたが、それも失敗した。したがって、われわれの幹細胞研究と3Dプリンティングの専門家とともに、われわれは新しいアプローチを試すことを決定した。細胞外マトリクスタンパク質でできた特殊インクを最適化し、そのインクを人の幹細胞と組み合わせ、インク+細胞を使って区画構造を3Dプリントした。幹細胞は、最初、その構造で高い細胞密度に拡張され、次にわれわれはそれらを心筋細胞に分化した」とバイオメディカルエンジニアリング学部長、研究リーダー、Brenda Ogleは説明している。

「数年の研究の後に、諦めるところだったが、バイオメディカルエンジニアリングPh.Dの2人の学生、Molly Kupfer と Wei-Han Linが、最初に幹細胞をプリントしてみることを提案した。われわれは、最後の試みをしすることを決めた。ラボのディッシュを見ると信じがたいことに、全体が自発的、動機的に収縮し、液体を動かすことができた」(Ogel)。

Ogleによると、これは心臓研究の極め重要な前進である。この新しい研究は、細胞が組織し、連携するように、心筋細胞の3Dプリント法を示しているからである。細胞は、相互に近接分化するので、体内で幹細胞が成長し、心筋細胞に特殊化するのと似ている。

他の際立つ過去の研究と比較して、この発見は、体液入口と体液出口のある閉じた液嚢のような構造を作る。そこでは、体内で心臓が血液をどのように動かすかを計測することができる。つまり、これは心臓機能研究にとって貴重なツールとなる。

「われわれは、人の心臓に近似するポンプ構造における細胞と分子レベルで何が起こっているかを追跡するモデルを手にしている。われわれは、そのモデルに病気や損傷を導入し、薬剤や他の治療の効果を研究することができる」(Ogel)。

その心筋モデルは、約1.5㎝長で、さらなる研究のためにマウスの腹腔に適合するように特に設計された。

「このすべてが単純なコンセプトのようであるが、これをどう達成するかは非常に複雑である。われわれはその潜在性を見ており、われわれの発見が心臓研究に変革的な効果を及ぼすと考えている」(Ogel)。

(詳細は、https://twin-cities.umn.edu)