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肝臓病を発見、モニタする新しいイメージング法

July, 15, 2020, Cambridge--ある肝臓病をスクリーニングすることは現在、難しい。また、一旦発見されても、これらの症状をモニタすることも難しい。Massachusetts General Hospital (MGH)とMITの研究チームは、先ごろ、両方の目標を達成する有望な臨床的可能性を持つ非侵襲的なイメージング法を開発した。研究成果は、Nature Biomedical Engineeringに発表された。

肝臓に蓄積した脂肪、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)が慢性肝臓病の主因である。「西欧社会では、肥満率上昇とともに、NAFLD患者数が増加している。米国では、2030年までに、二人に一人の成人にその症状が影響する」(論文のシニアオーサ、Rakesh K. Jain, PhD)。

慢性肝臓病の通常の診断は、生検で肝臓組織を採り、肝炎や繊維症(組織瘢痕化)を正確に評価する。これらは酸化ストレスやいくつかの他の破壊的プロセスが原因である。

酸化ストレスは、リポフスチン発生につながる。これは他の臓器や細胞の中でも肝臓では「消耗」色素である。研究チームは、自家蛍光イメージング技術によりこの色素を可視化すると、肝臓病、特にNAFLDの初期および末期の発見に役立つかもしれないと考えている。

NAFLD を模擬するためにJain研究所で広く利用されている動物モデルと結びつけて、Bawendi研究室で開発された近赤外および短波赤外技術を使うことで、研究チームは、病変組織と正常組織を明確に区別して、肝臓損傷の領域を正確に示すことができた。

この方法でリポフスチンを検出することで研究者は、NAFLDのマウスモデルで肝炎や瘢痕化の進行や退行を非侵襲的にモニタすることもできた。生検で肝臓組織を採る必要はなかった。

また、人の肝臓組織の生検サンプルで、そのイメージング法は、NAFLDの軽症から重症例を区別することができた。

「前臨床的に、この方法は動物研究に利用し、多くの時点で動物を犠牲にする必要がなくなる。さらに研究が進むと、この研究は、非侵襲的に肝臓病を診断、モニタする臨床に移行させることができる」とDr. Jainはコメントしている。

「さらに、この研究は、他の臓器に影響を与える病気でリポフスチンの非侵襲的自家蛍光イメージングの可能性を開く」。

(詳細は、https://www.massgeneral.org/)