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ナノメートルサイズのパターンを2D材料にカット

July, 7, 2020, Lausanne--EPFLの研究チームは、2D材料にナノメートルパターンを刻み込むことができる高精度技術を開発した。

その画期的なナノテクノロジーで、EPFLの研究者は、不可能なことを達成した。チームは現在、熱を使い、微小なメスで原子間の結合を破壊する。「従来のリソグラフィを使って2D材料を構造化するのは非常に難しい。従来技術では、侵襲的な化学薬品、あるいは電子やイオンなど、加速された、荷電粒子を使うことがある。それは材料の特性に損傷を与えるものである」と工学部のマイクロシステムズ研究所研究者、Xia Liuは説明している。「しかし、われわれの技術は、局所熱や圧力源を使い2D材料に正確に切り込む」。

「われわれの技術は、切り紙アートに似ているが、もっと小さなスケールである。熱を使って、基板を変え、それをもっと柔軟にする。場合によっては、それを気体にする。すると、2D材料への切込みがもっと容易になる」。

鋭い先端
研究チームは、グラフェンに似た2D材料、ジテルリドモリブデン(MoTe2)を使った。それはナノメートル以下、3原子層厚。MoTe2は、温度変化に反応するポリマ上に置いた。「ポリマが熱に晒されると、それは昇華する。つまり、固体から気体状態になる」とLiuは説明している。

マイクロエンジニアリング研究所の研究者は、新しいナノスケール構造化技術、熱走査プローブリソグラフィ(t-SPL)を使用した。これは、原子間力顕微鏡と同じように機能する。チームは、鋭いナノサイズの先端を180℃以上に加熱し、それを2D材料と接触させ、わずかに力を加える。これによりポリマが昇華する。MoTe2の薄い層は、材料の残りに損傷を与えることなく、取り除かれる。

小さく、より効率的なコンポーネント
 研究チームは、この技術を使って、2D材料の非常に正確なパターンを刻むことができる。「われわれはコンピュータ駆動システムを使い、超高速過熱と冷却プロセスを、また先端の位置を制御する。これにより、われわれは、あらかじめ定義したインデントを、例えばナノエレクトロニックデバイスに使用されるナノリボンに造ることができる」と論文の共著者、Samuel Howellは説明している。

Liuによると、この基盤技術は、ナノエレクトロニクス、ナノフォトニクス、ナノバイオテクノロジーで非常に役立つ。より小さくて効率的な電子コンポーネントの作製に役立つからである。

次の段階は、もっと幅広い材料に注目し、集積ナノシステムで機能する組み合わせを見つけることである。今後は、ナノ切断性能改善のためにカンチレバーやナノチップの設計も再検討する。より広くは、フレキシブルマイクロシステム向けの次世代製造技術の開発を目指している。

(詳細は、https://actu.epfl.ch)