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レーザ光による固体内電子運動の操作で光の発生制御に成功

June, 26, 2020, 京都--京都大学化学研究所の廣理英基 准教授、金光義彦 教授、佐成晏之 理学研究科博士課程学生と国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構の乙部智仁 上席研究員らの研究グループは、波長の異なる強い近赤外のレーザ光パルスを半導体材料GaSeに同時に照射すると、可視から紫外光領域にわたって発生する高次高調波光の偏光特性を操作する方法を発見した。
 近年、高強度レーザ光の固体への照射により、入力したレーザ光の整数倍の波長を持つ高次高調波が発生することが観測され、新たな光源利用などへの応用が注目されている。これまで2つのレーザ光を照射した時の高次高調波光についての発生機構は不明であり、広範囲な波長変換の手法や偏光方向の制御技術の開発には利用されてこなかった。
 この研究では、半導体GaSeに異なる2色のレーザ光を照射すると、発生する高次高調波光の特性が入射する2つレーザ光の偏光状態と結晶の方位角度に強く依存することを初めて発見した。さらに高次高調波光の偏光状態はレーザ光の電場で強く駆動される電子の運動に関係づけられることを突き止めた。この研究でレーザの光電場の周期という極めて短い時間内で固体中の電子運動を操作できることがわかり、高次高調波光の特性を制御する技術だけでなく、レーザ光の電場で制御する次世代の光エレクトロニクスにもつながると期待される。

 「今回の研究で弱い光強度のレーザ光で、高次高調波光の偏光を大きく回転できることを実証した。これは、単一の光パルスではなく直交する2つの異なる波長の光パルスによって、2次元的に固体内の電子を振動させることが原因であることを突き止めた。この過程は、試料の結晶性を反映した運動量空間(k-空間)でモデル化することで、よりよく理解することができる。今回得られた知見を基に、今後は特異なトポロジーの電子構造を持つ物質に対して研究を進め、さらに変わった電子や光の制御方法を探求したい」(研究者コメント)。

研究成果は、Nature Communicationsに掲載された。

(詳細は、https://www.qst.go.jp/)