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X線とレーザ光を組み合わせてスプレイをイメージング

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April, 17, 2020, Washington--ルント大学の研究チームは、車輌、船、飛行機エンジンの液体燃料燃焼に使われるようなスプレイを史上で初めて見ることができる新しいレーザベースの方法を開発した。その技術により、これら霧化スプレイについて新たな洞察が得られる。これらのスプレイは、ペインティング、食品粉末や薬剤の製造など、様々な産業プロセスでも利用される。

「われわれは、燃料燃焼前に起こる液体から気体への移行の理解を促進する新しいイメージング法を開発した。この情報を使って、よりスマートな燃料注入戦略を開発することができる。優れた燃料と空気の混合、より効率的な燃焼、究極的には燃焼機器からの汚染物質排出を減らすことができる」とスウェーデンのルント大学燃焼物理学部、研究チームリーダー、Edouard Berrocalは話している。

Opticaに発表された論文で研究チームは、以前にはアクセスできなかった霧化スプレイ現象の観察にX線とレーザ誘起蛍光を組み合わせる新しいアプローチを説明している。蛍光画像が噴霧液の形態について、そのサイズや形状など、詳細を提供する。他方X線放射写真は、その液体の分布の仕方を定量化する。

「通常、霧化スプレイの画像は、ぼやけており、スプレイ内部についての情報を含んでいない。われわれの新しいイメージングアプローチは、こうした問題を解決し、以前にはX線でも検出できなかった微量の液体でさえも検出できる」と論文の筆頭著者、Diego Guénotは説明している。

スプレイの内部を見る
スプレイは、数千の微小滴があらゆる方向に光を散乱させるので、通常光で可視化するのは非常に難しい。とは言え、X線ビームが吸収され、スプレイを透過したX線放射量を検出することで存在する液体の量を計測することができる。

この種の分析は、大型シンクロトロンで生成されるX線を必要とするが、それは世界の特殊なファシリティでしか利用できない。しかし、研究チームは、原子物理学部Olle Lundhのチームが開発した新しいテーブルトップレーザプラズマ加速器を使うことでこの障害を乗り越えた。それは、高分解能、時間分解X線イメージング用に調整されたX線を生成するように設計されている。

「シンクロトロンよりもはるかに小さいが、その新しいレーザ加速器は、液体によって吸収される適切なエネルギー範囲でX線を生成し、それをフェムト秒パルスで供給できる。つまりスプレイの動きは静止し、イメージング可能になる。また、X線は高流量であり、広いエリアで適切な信号を生成できる」とLundhは説明している。

レーザプラズマ加速器では、X線は、強力なフェムト秒レーザパルスを気体、つまりプリフォームプラズマに集光することで生成される。研究チームは、二光子蛍光イメージングのためにもこのフェムト秒レーザパルスを使った。この蛍光アプローチは、サブミリメートルエリアの高コントラスト画像を供給するためにライフサイエンス顕微鏡でよく使われるが、スプレイの撮像にはめったに使われなかった。通常、数平方センチのイメージングを必要とするからである。

「相対的に大きな領域の二光子イメージングは、比較的高いエネルギー、超短レーザパルスを必要とする。X線生成のために強力なフェムト秒レーザビームを使用したということは、われわれがX線と二光子蛍光イメージングを同時実行できるということである。これら2つのイメージング法を比較的大きな視野範囲で同時に実行することは、これまでになかった」とBerrocalはコメントしている。

明確な視野
研究チームは、X線を生成し、X線カメラの前にスプレイを設置してその技術を初めてテストした。最初の画像で、スプレイが明確に可視化できることがすぐに明らかになった。チームは、次にセットアップを変えて二光子蛍光イメージングを加えた。その統合技術を利用して、自動燃料噴射で作られたウォータジェットを撮像することで、大型シンクロトロンX線源で達成されるよりも高感度な計測が得られた。

「このイメージングアプローチにより、学術界と産業界の研究者にとってスプレイの研究が非常に容易になる。世界中にシンクロトロンファシリティだけでなく、多様なレーザプラズマ加速器研究所が少ない中で、研究が進められるからである」とGuénotは説明している。

研究チームは、スプレイの3D画像を撮り、それらが時間とともにどのように進化するかを研究するためにその技術を拡張する計画である。また、その技術をもっと難しく、現実的なスプレイにも適用することを考えている。例えばバイオディーゼル、エタノール直噴スプレイ、ガスタービンに使用されるスプレイシステムなどである。