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量子材料でできたカムフラージュが赤外カメラから人を隠す

A quantum material tricks an infrared camera by removing an object’s heat signature, violating a physics law at the same time. (Purdue University photo/Erin Easterling)

February, 28, 2020, West Lafyette--赤外カメラは、放出される熱によって人や他の物体を検知する。パデュー大学、MIT、ウィスコンシン・メディソン大学、ハーバード大学、ブルックヘブン国立研究所などの研究者は、紛れもない熱特性を隠すことでターゲットを見えなくする不思議な材料の能力を発見した。

その効果は、広い温度範囲で有効であり、いずれ人や自動車も含まれる。研究者によると、ステルス技術の将来的な資産を示すものである。

その材料を特別にしているものはその量子性、つまり古典的物理学では説明できない性質である。研究成果は、Proceedings of the National Academy of Sciencesで発表された。量子材料全可能性を解き放つことに一歩近づいた、と研究者は考えている。

赤外カメラを欺くことは新しくない。過去数年、研究者はグラフェンやブラックシリコンでできた他の材料を開発した。これらは電子放射をもてあそび、カメラから物体を隠すこともできる。

しかし、今回の研究で赤外カメラをだます量子材料は、独特である。それは、物体の温度をその熱光放射から分離する。基礎物理学法則にしたがう物質の振る舞い方についての知識に基づいて、これは直観に反する。分離することで、物体の温度についての情報は、赤外カメラから隠される。

その発見は、どんな物理学の法則にも違反していないが、これらの法則が従来考えられていたよりも柔軟であることを示唆している。

量子現象は、驚きを伴う傾向がある。酸化サマリウムニッケルという材料の特性の中には、数10年前にそれが発見されてから、神秘的なものがある。

パデューの材料工学教授、Shriram Ramanathanは、過去10年、酸化サマリウムニッケルを研究してきた。2019年初めに、同教授の研究室は、その材料に直観に反する能力があることを発見した。その分子構造から酸素が除去されると、不安定な導体よりはむしろ、低酸素環境で電流の優れた絶縁体なる能力である。

加えて、酸化サマリウムニッケルは、高温で絶縁相から導電相に切り替わる数少ない材料の一つである。ウィスコンシン・マジソン大学研究者、Mikhail Katsは、このような特性の材料は温度と熱放射を分離できるのではないかと見ている。

「熱伝導を制御する熱放射設計の見通しがある。赤外イメージングにより物体を特定したりプローブしたりすることを容易にしたり、難しくしたりすることのいずれかが有望である」と電気・コンピュータエンジニアリング准教授、Katsは話している。

Ramanathanのラボは、レファランス材料と比較するために、サファイア基板上に酸化サマリウムニッケル膜を作製した。Katsのグループは、分光放射を計測し、加熱されたときと冷却されたときに各材料の赤外画像撮った。他の材料と違い、酸化サマリウムニッケルは、それが加熱されてもほとんど熱くなったように見えず、105~135℃の間、この効果を維持した。

「一般に、ある材料を加熱したり冷却したりすると、電気抵抗がゆっくりと変わる。しかし、酸化サマリウムニッケルでは、抵抗は、今までにない仕方で、絶縁状態から伝導状態へ変わる。つまり、一定の温度範囲で、熱光放射特性を維持する」とRamanathanは説明している。

温度が変わるとき、熱光放射は変わらないので、両者は30℃の範囲で分離されていることになる。

Katsによると、この研究は、赤外カメラから情報を隠すだけでなく、新しいタイプのオブティクスの作製、赤外カメラそのものの改善に道を開く。

Katsは、「赤外カメラコンポーネント向けにこの材料と関連の酸化ニッケルの探求が楽しみだ。例えばチューナブルフィルタ、センサを保護する光リミッタ、新しい高感度光ディテクタなどだ」とコメントしている。