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高周波磁気共鳴の検出がエレクトロニクスを変革

February, 26, 2020, Riverside--UCリバーサイドの物理学チームは、検出が極めて難しいテラヘルツ電磁波のための電子検出法を発見した。この発見は、マイクロチップで検出器を小型化し、感度を高める。

テラヘルツは、電磁波周波数の単位で、1THzは1000GHzに相当する。周波数が高くなればなるほど,情報伝送はますます高速になる。例えば、携帯電話は、数GHzで動作する。

Natureに発表された研究成果は、反磁性体物質の磁気共鳴現象に基づいている。そのような物質は、反磁性体とも言われ、超高速のスピンベースナノスケールデバイスアプリケーションには独自の優位性がある。

同大学の物理学者、Jing Shiをリーダーとする研究チームは、反磁性体に、スピントロニクスの重要な物理量であるスピン流を生成し、それを電子的に検出することができた。この成果を仕上げるために、チームはテラヘルツ放射を使って、クロミア中の磁気共鳴をポンプアップし、検出を容易にした。

棒磁石のような強磁性体では、電子スピンは、上か下、同じ方向を指し示す。したがって、物質に集合的な力を与える。反強磁性体では、原子配列は、電子スピンが相互に相殺し合うようになっており、スピンの半分は、他の半分と逆方向、上か下のいずれか、を指している。

電子は、組込スピン角運動量を持つ、これがスリコギ運動をさせる。垂直軸周りをスピンするようにトップがスリコギ運動する。電子のスリコギ運動の周波数が、電子に作用する外力によって生まれる電磁波の周波数と一致するとき、磁気共鳴が生じ、検出が容易な増強信号の形で顕れる。

そのような磁気共鳴を生み出すために、UCリバーサイドとUCサンタバーバラの物理学チームは、サンタバーバラキャンパスのテラヘルツ科学・技術研究所のテラヘルツファシリティで作られた、0.24 THzを利用した。これは、クロミア内電子のスリコギ周波数とよく一致していた。それに続く磁気共鳴は、スピン流の生成となった。研究チームは、これをDC電圧に変換した。

「われわれは、反磁性共鳴が電圧を生み出す、スピントロ効果を生成することを証明できた。これは、これまで実験的にできなかったことである」と物理学・天文学教授、Shiはコメントしている。

「高帯域を求めて、トレンドはテラヘルツマイクロ波に向かっている。テラヘルツマイクロ波の生成は難しくないが、その検出は難しい。われわれの成果は、チップでTHz検出への新たな道を提供した」とShiは話している。

研究チームは、金属ディテクタとしてプラチナとタンタルに注目することでスピン感度に対処した。クロミアからの信号がスピンで生じたなら、プラチナとタンタルは、異極性の信号を示す。信号が加熱によって生じたなら、両金属は同じ極性で信号を示す。

「これは、反磁性体物質でピュアスピン流の生成と検出で初の成功である。スピントロニクスでは、これはホットトピックである」と同氏は話している。
(詳細は、https://news.ucr.edu/)