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2D材料でできた高速光ディテクタ

February, 21, 2020, Zurich--ETH-Zurichの2つの研究グループが共同で新しい光ディテクタを開発した。それは、シリコン光導波に結合した異なる材料の2D層で構成されている。将来、このアプローチがLEDsや光変調器の作製にも利用できる。

高速、高効率変調器と光ディテクタは、ファイバオプティックケーブルを利用したデータ伝送のコアコンポーネントである。近年、既存光材料をベースにした通信用のそれら構成要素は絶えず開発されているが、さらなる改善はますます難しくなってきている。そのため、異なる専門分野の力を統合することが必要になり、ETH-Zurichの2つの研究グループが登場してきた。

電磁場研究所のJürg Leuthold教授とフォトニクス研究所のLukas Novotny教授をリーダーとする研究者グループは、日本のNIMSグループと協力して、極めて高速・高感度光ディテクタを開発した。これは新しい2D材料とナノフォトニック光導波路の相互作用に基づいている。その成果は、Nature Nanotechnologyに発表された。

2D材料
「われわれのディテクタで、個々の制約を克服しながら異なる材料の利点を利用したかった。そのためのベストな方法は、各々が数原子厚の異なる層から、ヘテロ構造として知られるある種の人工結晶の作製である。さらに、そのような2D材料の実用的なアプリケーションについての熱狂が実際に正当化されるかどうかを知ることに興味があった」とNovotnyグループのPh.D学生、Nikolaus Flöryは説明している。

グラフェンのような2D材料では、電子は、3D空間ではなく平面でしか動かない。これは、例えば電圧が印加されたとき、その輸送特性を大きく変える。グラフェンは、オプティクス応用には理想的な選択肢ではないが、モリブデンあるいはタングステン、硫黄やテルルなどのカルコゲナイド(TMDC)のような遷移金属化合物は、感光性が優れており、その上、シリコン光導波路と容易に結合できる。

異なるアプローチの相互作用
 導波路と高速オプトエレクトロニクスの専門家はJürg Leutholdの研究グループから来た研究者。同グループのシニアサイエンティスト、Ping Maは、新しいディテクタを可能にしたのは2つのアプローチの相互作用だったと強調する。「2D材料と光がディテクタに供給される導波路の両方を理解することが、成功のために基本的に重要だった。それとともに、2D材料がシリコン導波路との結合に特に適していることを理解した。われわれのグループの専門性は、完璧に相互補完された」。

研究グループは、普通は遅いTMDCベースのディテクタを速くする方法を見つけ出さなければならなかった。他方、そのディテクタは、その高速性能を犠牲にすることなく、インタフェースとして使用されるシリコン構造との最適結合が必要だった。

垂直構造によるスピード
「われわれは、TMDC、この場合、モリブデンジテルリド、グラフェンでできた垂直へテロ構造を実現することでスピードの問題を解決した」とFlöryは話している。入力光粒子によって電子が励起される仕方は、従来のディテクタとは異なり、計測する前に、まず大きな材料を通過する必要はない。そうではなく、TMDCの2D層は、非常に短い時間に、電子が上か下のいずれかに逃げられることを保証している。

逃げるのが速ければ速いほど、ディテクタの帯域はますます大きくなる。そのバンド幅は、光パルスにエンコードされているデータがどんな周波数で受信できるかを示している。「われわれの新技術で数GHzが得られると考えていた、最終的に、われわれは、50GHzを実際に達成した」とFlöryは説明している。これまで、1GHz以下の帯域幅は、TMDCベースのディテクタで可能だった。

一方、最適光結合は、ディテクタをナノフォトニック光導波路に集積することで達成された。文字通り導波路から突き出している、いわゆるエバネセント波がグラフェン層を通ってヘテロ構造のモリブデン-ジテルリド層に入る。

そこで、電子を励起し、最終的に電子は電流として検出される。その集積導波路設計は、十分な光が、その過程で吸収されることを保証する。

多くの可能性を持つ技術
 ETH研究チームは、導波路とヘテロ構造のこの組合せで、光ディテクタだけでなく、光変調器など他の光学素子も作れると考えている。「可能性はほぼ無限だ。われわれは、この技術でできるものの一例としてフォトディテクタを取り上げたに過ぎない」とFlöry と Maは、熱狂的に話している。

近い将来、チームは研究成果を使い、他の2D材料を研究する。これまでに知られているものは100程度で、新しいヘテロ構造には無限の組合せの可能性がある。さらに、デバイスのパフォーマンスをさらに高めるためにプラズモンなど、他の物理的効果も研究する。

(詳細は、https://ethz.ch)