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機械的な力を感じてより強く発光する「スマート」ポリマー

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January, 31, 2020, 沖縄--引っ張るほど強く光ることで材料にかかる応力を検出できる「スマート」ポリマーを沖縄科学技術大学院大学(OIST)の研究者らが開発した。この新たなポリマーはポリマーの性能測定や、エンジニアリングおよび建設業界で使用される材料の小さな欠陥を調べることに役立つと考えられる。

 このポリマーはポリブチルアクリレートに銅原子と有機(炭素含有)分子が結合してできた銅錯体を組み込むことによって開発された。ポリブチルアクリレートは、アクリル系塗料、接着剤、およびシーラントに使用される化学物質。

 この銅錯体は紫外線にさらされると発光する。ポリブチルアクリレート鎖に連結された銅錯体はより強く明るい光を発し、メカノフォアとして作用する。メカノフォアとは、力が加わると構造が変化する化合物。
 これまで開発されてきたメカノフォアの多くは銅などの金属ではなく有機化合物から作られており、化学結合の弱い箇所が応力によって切断される時に色が変化したり発光したりする。しかし化学結合の切断メカニズムを利用するメカノフォアには、厳しい制約がある。

 「化学結合を切断するには比較的大きな力が必要なので、メカノフォアは小さい応力には敏感ではない。また、結合を切断するプロセスは不可逆的であることが多く、これらの応力センサは一度しか使用できない」と、OISTの錯体化学・触媒ユニット(ジュリア・クスヌディノワ准教授)のポスドク研究者で、研究筆頭著者の狩俣歩博士は説明している。

 これに対し、今回開発された銅メカノフォアははるかに小さな応力に対して敏感で、迅速かつ可逆的に反応することができる。引っ張ほど強く発光し、離すとすぐに元に戻るポリマーフィルムについての研究成果はChemical Communications誌に発表された。
(詳細は、https://www.oist.jp)