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能動熱検出が超分解能技術の用途を広げる

January, 21, 2020, South Korea--韓国の基礎科学研究所(IBS)内Center for Soft and Living Matterの研究チームは、プローブビームによって起こる温度上昇を利用することで物体を検出する信号自体を生成できることを見いだした。
 注目すべきは、応用が顕微鏡だけに限られている従来技術と比較して、この「能動熱検出」が、あらゆるスケールで超分解能イメージングを可能にすることである。超分解能は、像の極微部分を明らかにし、以前には隠されていた像を解像できるようになる。研究の第2著者、Francois Amblardは、「超分解能に熱放射を利用しようとしたものは誰もいなかった。たとえこの信号が、無視できないほど目立っていてもだ。われわれの最初の、無視できない簡素なアイデアは、明確な信号、熱放射で物体を検出するというものである」と説明している。

物体が、その熱を急上昇させるほどのエネルギーを持つプローブビームで照射されると、その熱放射は急増する。実際、われわれの日常生活でそのような温度上昇のアプリケーションを見つけることはできる。例えば、空港で発熱する乗客のスクリーニングである。物体が温度上昇すると、それは強い熱を放射する。研究チームは理論的に、熱放射の超直線性を検証した。研究チームは、熱くなった物体が放出するフォトンの数を正確に定量化し、非常にわずかな温度上昇でさえも、光放出の大きな変化になることを示した。このプロセスは、能動加熱および検出スキームとともに、超高分解能での物体検出に役立つ。

さらに、超分解能係数は、十分な高温に達していれば、任意に高めることができる。「われわれの理論は、放出空間プロファイルは、任意に狭めることができ、物体の局在改善になると予測している。さらに原理的には、任意に大きな超分解能に達する。次に、2つの近接標的の分解能が向上し、標的に形状検出が改善される」と研究の主筆、Guillaume Gracianiは説明している。

超分解能技術により、以前には見えなかったものを見ることができるようになったが、これまでは、それは顕微鏡でしか機能していなかった。注目すべきは、顕微鏡イメージングから飛行機などの飛行物体まで、あらゆるスケールの物体を超解像する一般的な方法として、熱放射と、それに内在する超直線性をこの研究が示していることである。能動熱検出は、非破壊検査の熱イメージングにアプリケーションがある。他には、自動運転車用のLiDAR、Radar技術、ステルス物体の中距離、長距離検出など。また、超伝導ナノワイヤシングルフォトンディテクタ、HgCdTeアバランシュフォトダイオードなど、ごく最近の熱型光検出器にも新たなアプリケーション領域を開く。新しい種類熱プローブは、超分解能熱検出、顕微スケールでのイメージング用に設計できる。
(詳細は、https://www.ibs.re.kr)