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スタンフォード、チップベース粒子加速器を構築

January, 14, 2020, Stanford--スタンフォード大学の研究チームは、チップに取り付ける粒子加速器を構築し、研究や医療に新しいアプリケーションを見つけることができる技術を微小化する。

スタンフォードとSLACの研究者は、電子を加速できるシリコンを初めて作製した。これは、巨大な装置のほんのわずかなスピードでしかないとしても、赤外レーザを使い髪の毛幅以下で、マイクロ波を何フィートも先に送るエネルギーブーストができる。

Science に発表された論文によると、電気工学チームのJelena Vuckovicは、シリコンからナノスケールのチャネルをどのように形作り、それを真空封止し、このキャビティ電子を送るかを説明している。一方、赤外光パルスに対してシリコンは透明であるので、電子を加速するチャネルウォールによりパルスが伝搬される。

Scienceで実証されたオンチップ加速器はプロトタイプに過ぎないが、Jelena Vuckovicによると、その設計と製造技術は、機能を高めて、粒子線を加速し、化学、材料科学、生物学的発見で最先端の実験を、巨大加速器のパワーなしで実施できるようになる。

「最大の加速器は望遠鏡のようなものだ。世界に数か所しかなく、研究者は、それを利用するためには、SLACのような場所に来なければならない。われわれは、加速器技術を微小化して、利用しやすい研究ツールにしたい」とVuckovicは話している。

チームメンバーは、そのアプローチをコンピューティングがメインフレームから、小型であるが役に立つPCに進化した方法になぞらえる。加速器オンチップ技術は、新しいガン放射線治療にもつながると物理学者、論文の共著者、Robert Byerは言う。それは、サイズの問題である。今日、医療X線装置は部屋いっぱいであり、ガンに集光することが難しい放射線を出す。患者は、鉛シールドを装着して巻き添え損傷を最小化する必要がある。

「この論文でわれわれは、電子線放射を直接腫瘍に照射できる方法を示した。健康な組織は影響を受けない」とByerは説明している。同氏は、Accelerator on a Chip International Program(ACHIP)のリーダーである。この現在の研究は広範な取り組みの一環である。

逆設計
論文で研究チームは、シリコンを通して赤外光パルスを発射するチップの作製法を説明している。光パルスは、適切な瞬間、適切な角度で電子に当たり、以前よりもわずかに高速に電子を前進させる。

これを完成するために、チームは設計プロセスを逆転させた。SLACにあるような従来の加速器ではエンジニアは、一般に基本設計を書き、シミュレーションを行って、可能な限り最高の加速となるように、マイクロ波バーストを物理的に調整する。しかしマイクロ波は、ピークから谷まで4インチであるが、赤外光は、人の髪の毛の幅の1/10の波長である。その差が、赤外光が、マイクロ波に比べてそんなにも短い距離で電子を加速できることの説明になっている。しかしこれは、チップの物理的特性が、従来の加速器の銅構造よりも100000倍小さくなければならないことも意味している。このことは、シリコン集積フォトニクスとリソグラフィに基づいた新たなアプローチをエンジニアリングに要求している。

Vuckovicのチームは、同氏の研究室が開発した逆設計アルゴリズムを使ってその問題を解決した。これらのアルゴリズムにより研究者は、作業を逆向きにする。チップに送出させたい光エネルギーがどの程度かを特定し、フォトンを電子の流れと適切に接触させるために必要な最適ナノスケール構造の構築法を示すようにソフトウエアに仕事を課す。

「時には、逆設計は、人間のエンジニアが考え及ばないソリューションを生み出せる」とSLACのスタッフ科学者、R. Joel Englandは言う。

その設計アルゴリズムから、ほとんど異世界と思われるチップレイアウトが出現した。チャネルで分離されたナノスケールメサが、シリコンからエッチングで作られたのである。そのチャネルを流れる電子は、シリコンワイヤのガントレットを走り、キャニオンウォールを突き抜けて戦略的ロケーションに到達する。1秒に10万回のレーザパルス、フォトンバーストは、毎回一連の電子と衝突し、電子を加速する。これのすべてが髪の毛の幅以下、スタンフォーチームが作製した真空封止シリコンチップ表面で起こる。

研究チームは、光の速度の94%、100電子ボルト(1MeV)に電子を加速して、研究、医療目的に十分な力の粒子フローを作りたいと考えている。このプロトタイプチップは、シングルステージの加速に過ぎない。また電子フローは、1MeVを達成するには、このステージを1000程度通過しなければならない。しかし、Vuckovicは、それはそれほどに困難ではないと考えている。このプロトタイプの加速器オンチップが完全集積回路だからである。つまり、加速を生み出すために必要な重要機能はすべてそのチップに組み込まれており、その能力の増強は、当然ながら簡単である。

研究チームは、2020年末までには1000の加速ステージを1インチ程度の空間に詰め込み、1MeV目標を達成する計画である。それは重要な到達点であるが、そのようなデバイスは、SLAC研究加速器の能力のそばではまだパワーで青ざめるだろう。SLACの加速器は、1MeVの30000倍のエネルギーを生成できる。しかし、Byerは、最終的にはトランジスタが、エレクトロニクスで真空管に取って代わったように、光ベースのデバイスが、いずれ、マイクロ波駆動の加速器の能力に挑むと考えている。

一方、チップで1MeV加速器の開発を当てにして、電気工学のOlav Solgaard、論文の共著者は、すでに可能な抗がんアプリケーションに取り組み始めた。今日、高エネルギー電子は、皮膚を焼くので、放射線治療には使えない。Solgaardは、チップサイズ加速器からカテーテルのような真空チューブを通して高エネルギー電子を送り込む方法に取り組んでいる。真空チューブは、皮下、腫瘍のすぐそばに挿入できる。外科的に放射線治療を管理する粒子ビームを使うのである。

「われわれは、研究アプリケーションに加えて、加速器技術の微小化から医療的メリットを引き出すことができる」とSolgaardは話している。