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NUS、大型フレキシブル発光ダイオード

January, 6, 2020, Singapore--NUS研究者は、新しいウェアラブルデバイス技術向けに、高効率、大面積、フレキシブル近赤外(NIR)発光ダイオード(LED)を開発した。

赤外LEDは、従来、光通信や秘密の照射に有用であり、一般に遠隔制御やセキュリティカメラ設定に用いられている。通常、小さな点光源なので、近接近、例えばウェアラブルデバイス用に大面積照射が必要とされる場合、その利用は限界がある。

NUS、化学学部、シンガポール太陽エネルギー研究所(SERIS)のTAN Zhi Kuang教授をリーダーとする研究チームは、低コスト溶解処理法を使い900㎜2をカバーできる高効率近赤外LEDを開発した。これは、他の報告で達成されたサイズよりも数桁大きく、広範な興味深い新しいアプリケーションを開く。そのデバイスは、新しいペロブスカイトベース半導体を利用しており、これは強い発光を可能にする直接バンドギャップ半導体。新しいデバイスアーキテクチャを利用することで研究チームは、電子とホールのペロブスカイトへの注入を正確に調整できる。これは、バランスのとれた対抗電荷が結合して効率的な光生成ができるようにするためである。チームは、この改善により、著しく高い再現性で、大面積デバイスが製造可能であることも確認した。

研究チームのPh.D学生、ZHAO Xiaofeiは、「ホールインジェクション効率は、デバイスのパフォーマンスに影響を与える大きな要因であることを確認した。デバイス構造の一部として浅いイオン化ポテンシャルを持つ有機半導体を使うことで、ホールインジェクションを改善し、電荷バランスを達成できる。これにより、われわれのデバイスは、その理論限界に近い効率(20%の外部量子光率)で発光でき、加えてデバイス間の性能変動を減らし、その結果、非常に大きなデバイスを実現できる」と説明している。

Tan教授は、「われわれのデバイスによって可能になる技術の中には、顔認証、拡張現実/仮想現実(AR/VR)視線追跡技術の秘密の照射が含まれるかもしれない。特に、われわれのLEDが、皮下深部組織照射に関わるアプリケーション、例えばウエアラブル健康追跡デバイスに適していることを実証した」とコメントしている。

「これらの材料は、可視光全域で発光するようにも開発できる。したがって、新しい世代のフラットパネル電子ディスプレイに適用可能である」と同氏は付け加えている。