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10000原子まで原子レベルでナノエレクトロニクスをシミュレート

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December, 24, 2019, Zurich--ETH-Zurichの2つの研究グループが、ナノエレクトロニクスデバイスとその特性を現実的、迅速,効率的にシミュレートできる方法を開発した。これは、業界やデータセンタオペレータに一筋の希望を提供する。両者とも、ますます小型化、強力になるトランジスタによる過熱と格闘しているからである。

チップメーカーはすでに、わずか数nmサイズのトランジスタをアセンブリしている。現在、さらに強力なスーパーコンピュータ需要により、業界は、同時に一層小さくて強力なコンポーネントの開発を強いられている。

現在のナノトランジスタをより効率的にするために、研究グループは、いわゆる量子トランスポートシミュレータ、OMENというソフトウエアを利用してトランジスタのシミュレーションを行う。

OMENは、密度関数理論として知られるものに基づいて計算を走らせ、原子分解能、量子力学レベルでトランジスタのシミュレーションを可能にする。このシミュレーションは、ナノトランジスタを通して電流の流れ方、電子と振動との相互作用の仕方を可視化し、研究者は熱が発生する箇所を正確に特定できるようになる。続いて、OMENは、改善の余地がある箇所について重要な指摘を行う。

最適化されたシミュレーションを利用してトランジスタを改善
今まで、従来のプログラミング法とスーパーコンピュータでは、研究者は1000程度の原子で構成されたトランジスタの熱放散しかシミュレーションできなかった、プロセッサとメモリ間のデータ通信要求が、大きな対象の現実的なシミュレーションを不可能にしていたからである。

ほとんどのコンピュータは、大部分の時間をコンピューティング動作に使わず、プロセッサ、メインメモリと外部インタフェース間でデータを動かしているだけである。研究者によると、OMENも通信では明白なボトルネックに悩まされ、性能が制約された。「そのソフトウエアは、すでに半導体産業で使われているが、数値アルゴリズムと並列化に関して、かなりの改善の余地がある」とLuisierは話している。

同氏の説明では、これまで、OMENの並列化は、電子熱問題の物理学にしたがって設計された。今回、Ph.D学生、Alexandros ZiogasとポスドクTal Ben-Nunは、物理学ではなく、データ間の依存性に注目した。これらの依存性にしたがい、基盤にある物理学を考慮することなく、効果的にコンピューティング動作を認識した。コードの最適化で、研究チームは、世界で最も強力なスーパーコンピュータの2つの助けを借りた。“Piz Daint” スイス国立スーパーコンピュータセンタ:Swiss National Supercomputing Centre (CSCS) と米国ORNLの “Summit”。 “Summit”は世界最速のスーパーコンピュータである。研究者によると、結果としてのコード、DaCe OMENは、元のOMENソフトウエアからのものとまさに同じ精度のシミュレーション結果を生成した。

報告によると、研究者は、初めてDaCe OMENで、10倍のサイズのトランジスタの現実的なシミュレーションを可能にした。これは、同じプロセッサ数で10000原子で構成されている。また、1000原子で、元の方法がかかったよりも14倍高速である。全般的に、DaCe OMENは、OMENよりも二桁、効率的である。Summitでは、特に、140倍高速に実際のトランジスタをシミュレートすることができた。持続的な性能は、85.45ペタフロップ/秒、また4560コンピュータノード、倍精度で実行した。計算速度のこの極端な増加で、研究者は、Gordon Bell Prizeを受賞した。

データセントリックプログラミング
 研究者は、データセントリック並列プログラミング(DAPP)原理を適用することで、この最適化を達成した。これは、Hoeflerの研究グループが開発したものである。ここでは、目的は、データ転送を最小化すること、したがってプロセッサ間の通信を最小化する。「このタイプのプログラミングにより、われわれは、プログラムの様々なレベルでこの通信がどこで改善できるかを非常に正確に判断できるだけでなく、計算カーネルとして知られている、特殊な数値計算セクションの調整法も、シングルステートの計算内で決められる」とBen-Nunは説明している。このマルチレベルアプローチにより、毎回書き換えることなく、アプリケーションの最適化ができる。

データの移動も、所望のコンピュータアーキテクチャ向けに、元の計算を変更することなく最適化される。「ターゲットアーキテクチャのコードを最適化するとき、われわれは現在、パフォーマンスエンジニアの視点からそれを変えているだけであり、プログラマの視点からではない。つまり、科学の問題をコードに変換する研究者である」とHoefler。これは、同氏によると、コンピュータサイエンスと学際的プログラマ間の非常にシンプルな境界の確立につながる。

DaCe OMENのアプリケーションは、ほとんどの熱がナノトランジスタチャネル端から生じており、そこからそれがどのように広がって、全体のシステムに影響を与えるかを明らかにした。研究者は、この種の電子コンポーネントをシミュレートする新しいプロセスには、様々な潜在的アプリケーションがあると考えている。一例では、リチウムバッテリの製造である。