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アリゾナ大学、新しいレンズで宇宙の生命探査

November, 22, 2019, Tucson--アリゾナ大学の研究チームは、新しい種類の望遠鏡を設計した。従来よりも大きなミラーを使って望遠鏡を構築するよりも安価、軽量、より強力なオプションである。新設計の宇宙望遠鏡フリートで、生命の化学的シグネチャを1000世界に探し回ることを狙っている。
 アリゾナ大学(UA)、Richard F. Caris Mirror Laboratoryは、世界最大望遠鏡ミラー製造では世界的リーダーである。実際、現在最大にして最先端の地上ベース望遠鏡、The Giant Magellan Telescope向けにミラーを製造している。
 しかしサイズ制限がある。つまり、画像を歪めるミラー自体の重量から、最終ピースの輸送に必要なフリーウエイや地下道のサイズまでである。そのような巨大ミラーは物理的限界に達しつつあるが、そうであるなら、UAは光を集光して天文学者が星を観察する方法の変化を推進する技術に継続して世界的に貢献していく」とSteeard天文台、月と惑星研究所、准教授、Daniel Apaiは考えている。
 「われわれは、宇宙望遠鏡でミラーを置き換える新技術を開発している」と同氏は話している。「成功すれば、われわれは望遠鏡の集光力を大幅に増やすことができる。また、他の科学では、生命の兆候を求めて地球のような1000の惑星の大気を研究できる」。
 Apaiがチームの半分、宇宙科学のリーダー、James C. Wyant College of Optical SciencesのTom Milster教授が、Nautilusという複製可能宇宙望遠鏡の光学設計のリーダー。研究チームは、35の14m幅球体望遠鏡を導入する意向である。その望遠鏡の各々が、ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)よりも強力である。
 各ユニットは、注意深く作られた径8.5-mレンズを持つ。これは、天文観察に使用されるものである。一つは、特に、惑星の大気を透過してきた星の光の分析に使われる、これは生命の化学的シグネチャを明らかにする技術である。
 望遠鏡アレイは、統合されると、1000光年離れた1000の太陽系外惑星の特性を評価するだけの強力さである。NASAの最も意欲的な宇宙望遠鏡ミッションは、一握りの地球のような太陽系外惑星を調べるために設計されている。
 「そのようなサンプルは、地球外の複雑さを本当に理解するには小さすぎるだろう」とApaiは話している。論文は、Astronomical誌に発表された。
 Nautilusを開発するために、研究チームは目標を定義し、それに一致するようにNautilusを設計した。
 「われわれは、1000の潜在的に地球のような惑星を探求し、生命の兆候を得たかった。したがって、まず、どのような種類の星に惑星があるか、と考えた。次に、軌道を回る1000の地球のような惑星が存在する宇宙に入り込むには、どの程度の距離が必要か、と考え、1000光年以上であることがわかった。しかし、それでも銀河のほんの一部に過ぎない。次に、必要な集光力を計算し、50m径の望遠鏡相当であることが分かった」とApaiは説明している。
 Hubbleミラーは直径2.4m、James Webb Space Telescopeのミラーは、直径6.5mである。いずれも、異なる目的にために設計されており、これまでに太陽系外惑星さえ発見されている。
 「望遠鏡ミラーは光を集めるので、表面が大きければ大きいほど捉える星の光はそれだけ多くなる。しかし、50m系のミラーを構築できるものは誰もいない。したがってわれわれはNautilusを考案した。これはレンズに依存し、あり得ないほど巨大な50mミラーを構築する代わりに、同じ光量を集めるために一連の等しい小型レンズを構築することを計画している」。
 そのレンズは、灯台のレンズからヒントを得たものであり、大きいが軽量である。さらに、ダイヤモンド先端ツールで精密カービングなど、微調整を加えた。特許となっている設計は、屈折と回折レンズのハイブリッドであり、これによって非常に強力になり、惑星ハンティングに最適となる。
 レンズは、ミラーよりも軽量であるので、宇宙に打ち上げるにも安価であり、作製もモールドを使って迅速かつ安価である。それらは、ミスアライメントの影響も少なく、この技術で構築された望遠鏡は、著しく経済的である。Nautilusは、新技術、より簡素な設計、軽量コンポーネントを使用して、より多くの集光力をもつ安価で、効率的な望遠鏡となる。
 Nautilus望遠鏡は、高級な観察技術は何も必要としない。
 「われわれは、極端に高コントラストなイメージングを必要としない。惑星のホストスターを見えなくするための巨大なスターシェードを持つ別の宇宙船を必要としない。赤外にも入らない。必要なものは、効率的、安価な方法で多くの光を集めることである」とApaiは話している。
 過去数十年、コンピュータ、エレクトロニクスとデータ収集装置は、すべて小さく、安価に、高速に、より効率的になった。他方、ミラーは、この成長の例外である。大幅なコスト削減に至ってないからである。
 「現状、ミラーは高価である。研削、研磨、被覆とテストに数年を要するからである」。その重量も、打ち上げを高価にする。「しかし、Nautilus技術は、型から始まり、レンズの作製にわずか数時間が必要なだけである。工程のコントロールも改善し、間違っても、ミラーのように全て最初から始める必要はない」。
 加えて、リスクはたくさんの望遠鏡に分散されるので、何か問題が起こっても、ミッションが中止になることはない。多くの望遠鏡が残っている。
 「全てがシンプル、安価、複製可能であり、われわれは多くの光を集めることができる」。
 研究チームは、成功すると、さらに別の考えがある。「ローコスト、複製された宇宙望遠鏡技術を使い、大学が独自の小さな、地球あるいは宇宙を観察する望遠鏡を打ち上げることができる。Hubbleとわずかな時間を張り合う代わりに、独自の望遠鏡をもち、独自のチームでコントロールできる」。