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X線レーザの集光強度を100 倍以上向上

May, 13, 2014, Tokyo/Osaka--東京大学と大阪大学は、高輝度光科学研究センター、理化学研究所と共同で、SACLAにおいて、4枚の超高精度ミラーを駆使しXFELを約50nmまで集光し、世界で初めて集光強度1020W/cm2のX線レーザビームを確認した。
 X線レーザの高精度波面計測、高精度ミラー姿勢制御装置を導入することで、4枚の超高精度ミラーから構成された複雑なシステムを開発した。30nm(縦)×55nm(横)のサイズに集光し、1020W/cm2という、 従来に比べて大幅(100 倍以上)に集光強度を向上させることに成功 した。
 今回実現した 1020W/cm2X線レーザにより宇宙物理、高エネルギー物理や量子光学などの基礎物理分野において、未だ観察されていないさまざまな物理現象の発見が期待される。また、医学、創薬の研究に欠かせない生体物質を対象とした原子分解能顕微鏡などの開発にも大きく貢献する。
 この研究成果は、東京大学大学院工学系研究科三村秀和准教授、大阪大学大学院工学研究科松山智至助教、山内和人教授、高輝度光科学研究センター湯本博勝研究員、大橋治彦副主席研究員、登野健介副主幹研究員、理研放射光科学総合研究センターXFEL研究開発部門ビームライン研究開発グループ矢橋牧名グループディレクターらの研究グループが共同で行ったもので、Nature Communicationsにオンラインで発表された。  研究グループは、反射面が楕円形状の4枚の集光鏡を用いた光学系を設計した。XFELの光をナノメートルのサイズに集光にするためには、理論的に XFELの光を一度広げる必要がある。この光学系では、XFELの光を、前段の2枚の集光鏡を用いて一度大きく広げ、広がったXFELの光を約70m後段に配置された2枚の集光鏡で受け集光する。XFELの光をほぼ全て反射させるためには、集光鏡には原子レベルの精度が必要であり、日本が持つ超精密加工技術により4枚の鏡が作製されている。
XFELの光を理想的に集光するためには、高精度な姿勢の調整が必要になるため、SACLAでは、高精度ミラー姿勢制御装置を開発した。また、鏡の姿勢が完全でないとXFELの光の波の形に影響を与えるので、XFELの光の波面の様子を瞬時に測定可能なX線波面計測システムも開発した。4枚の集光鏡の姿勢と角度を調整した結果、十分に集光可能なレベルにまでXFELの波の形が整っていることを確認した。
 集光実験の結果、理論通りの集光サイズ(縦方向:30nm、横方向:55nm)を確認。X線レーザの集光強度は、従来の集光システムを用いた場合と比較し、100倍以上向上したことになり、1020W/cm2を達成した。この強度はX線領域の光において世界最高値になる。 (詳細は、www.t.u-tokyo.ac.jp)