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IST Austria、量子コンピュータを接続

nws2019112001

November, 20, 2019, Vienna--量子コンピュータを接続するリンクとして役立つ可能性のあるプロトタイプが開発された。
 エンタングルメントは、量子力学の主原理の一つ。科学技術研究所オーストリア(ISTオーストリア)、Johannes Fink教授の研究グループは、機械的な振動子を使ってエンタングル放射を生み出す方法を発見した。この方法はNatureに発表されている。論文は、量子コンピュータ接続では、その方法が極めて有用となることを証明している。

エンタングルメントは、量子世界に典型的な現象であり、いわゆる古典的世界には存在しない。物理学の古典的世界と法則は、われわの日常生活を支配している。2つの粒子がエンタングルすると、一方の粒子の特性は、他方を見ることによって決定できる。これはアインシュタインが発見し、その現象は解読できないコードにつながると言われる量子暗号で盛んに使用されている。しかし、それは粒子にだけ影響するのではなく、放射もエンタングルされる。これは、ISTオーストリア、Fink教授グループのポスドク、Shabir Barzanjehが現在、研究している現象である。同氏は、論文の筆頭著者。
「2つの出口がある1つの箱を考える。出口がエンタングルしていると、一方は、他方を見ることによって、片方から出る放射の特性を決めることができる」と同氏は説明する。エンタングルした放射は以前に作られているが、この研究では機械的物体が初めて利用された。30µm長、約1兆の原子で構成され、グループが作り出したシリコンビームは、それでも、われわれの目には小さいが、量子の世界では大きい。「この実験は、基本レベルでは興味深かった。問題は、非古典的放射を生み出すために、そのような大きなシステムを使えるかだ。現在、われわれには、答はYESであることが分かっている」。

とは言え、そのデバイスは実用的な価値もある。機械的振動子は、非常に敏感な量子コンピュータと、データセンタ内、その先でそれらを接続する光ファイバとの間のリンクとして役立つ。Barzanjehは、「われわれが構築したものは、量子リンクのプロトタイプである」と言う。

超伝導量子コンピュータでは、エレクトロニクスは、絶対零度(-273.15 °C)の数千分の何度かの極低温でのみ動作する。これは、そのような量子コンピュータが、雑音や損失に極めて影響を受けやすいマイクロ波フォトンに基づいて動作するからである。量子コンピュータの温度が上昇すると、全ての情報が壊れる。結果的に、一つの量子コンピュータから他のコンピュータへの情報転送は、当面、不可能である。情報は、それが存続するには温度が高すぎる環境を横断しなければならないからである。

それに対して、ネットワークの古典的コンピュータは、通常光ファイバで接続されている。光放射は、データを壊し、破損させる擾乱に対して非常に堅牢だからである。この効果的な技術を量子コンピュータに利用するためには、量子コンピュータのマイクロ波フォトンを光情報キャリに変換できるリンクを構築しなければならない。つまり、量子テレポーテーション源としてエンタングル光場を生成するデバイスである。そのようなリンクは、室温と極低温量子の世界との架け橋として機能し、物理学者が開発したデバイスは、その方向への一歩前進である。「われわれが構築した振動子により、われわれは量子インターネットへ一歩近づいた」と論文の筆頭著者、Barzanjehは話している。

しかしこれは、そのデバイスの唯一の可能なアプリケーションではない。「われわれのシステムは、重力波検出器の性能改善にも利用できる」と同氏は説明している。「そのようなエンタングルした場の定常状態の観察は、それを生み出す機械的振動子が量子的物体でなければならないことを示唆すことが明らかになっている。これは、どんなタイプの媒介者にも有効であり、それを直接計測する必要はない。したがって今後、われわれの計測原理は、生きた組織、重力場など、調べることが難しい他の系の潜在的な量子性を検証し、反証するのに役立つ」。
(詳細は、https://ist.ac.at)