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EPFL、原子層蒸着スケールアップの安価な方法

November, 18, 2019, Lausanne--EPFLのケミカルエンジニアは、高品質マイクロエレクトロニクスで一般に使用されている、原子層蒸着(ALD)の新方法を開発した。新方法は、現在のアプローチよりも大きな表面の材料で遙かに安価に使用でき、同時に品質と効率も維持できる。
 ALDは、パンケーキのように相互に原子層をスタックしていく必要がある。原子は、プリカーサという蒸発材料から来る。ALDは、確立された技術で、半導体、録音用の磁気ヘッド、バイオエンジニアリングや診断向けのセンサなど、マイクロエレクトロニクス製造向けの技術。
 しかし、大面積で層蒸着にALDを利用するには苦労がある。特に、低コストにしなければならない、触媒やソーラデバイスなどの材料の製造である。
 「障害は、必ずしも適切な材料を作ると言うのではなく、それを安く作ることである」とEPFLの持続可能触媒工程研究所(LPDC)長、Jeremy Luterbacher教授は言う。「気相法で大面積のコーティングは、長い蒸着時間、膨大なプリカーサを必要とする。その両方ともコストアップになる」とほとんどの研究を行ったPh.D学生、Benjamin Le Monnierはコメントしている。
 今回、LPDCはソリューションを開発した。液相でALDを使用すると、研究者は、気相で作った材料と区別できない材料を作ることができ、しかも装置は遙かに安価で、余分なプリカーサは必要ない。
 研究チームは、基板表面に注入する前にプリカーサの反応を慎重に計測することで、このブレイクスルーを達成した。この方法は、正確に適切な量のプリカーサを使用し、不要な反応や浪費の原因となる残余を出さない。
 新方法は、化学合成に標準的なラボ装置しか必要としないので、コスト削減が可能である。また、同じ安価な装置で150 g以上の材料のコーティングまで簡単に拡張可能であり、コーティング品質の損失はない。その技術は、気相ALD、例えば、非揮発性プリカーサを使ってはできないようなコーティングでさえ達成できる。
 「この技術は、触媒や他の高表面材料でALD利用を大きく普及させると考えられる」とLuterbacherはコメントしている。
(詳細は、https://news.epfl.ch/)