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微小な温度計でミトコンドリアによる細胞の加熱を計測

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November, 12, 2019, Champaign--細胞内の温度を素早く計測できる新しい温度計プローブで武装してイリノイ大学(University of Illinois)研究チームは、代謝の神秘的な側面、熱生成を明らかにした。
 ミトコンドリアは、細胞の発電所であるが、これは内部のプロトン「バッテリ」に蓄積されたパワーを解放することで熱を爆発的に放出することを研究チームは確認した。このプロセスの理解向上による、肥満やガンの処置に新たな目標が指摘できるとチームは考えている。
 研究成果は、Communications Biologyに発表された。
 「熱の発生は、代謝活動の中心でミトコンドリアの役割の一部である。ミトコンドリアは、細胞活動で使用されるエネルギーカレンシーを作る必要がある。熱は、ほとんどの場合、副産物の一つである。しかし身体が必要とするとき、このプロセスを強めてより多くの熱を生成する機構が存在する。体温が下がって熱が必要なとき、脂肪細胞が行うのがそれである」とSinhaは説明している。
 熱出力のこの増加をもっとよく理解するために研究チームは、微小な高速読み取り温度ブロブを開発し、生きた細胞内部の温度を内的に計測しようとした。機械的設計が課題であることがわかっていた。顕微鏡の下の細胞に届くだけの長さが必要だったが、細胞を傷つけたり、その内的プロセスを乱さないような小径でなければならない。
 「われわれは、起こっていることを非常に高速に計測したかった。細胞内では、物事は非常に素早く起こる」と機械科学・工学教授、Sanjiv Sinhaは言う。
 研究グループは、イリノイ大学分子/統合生理学名誉教授、Rhanor Gilletteの研究室の研究者と協働してミトコンドリアの多いニューロンでそのプローブをテストした。以前の研究で確立した方法を使い、ミトコンドリアを誘導し熱を発生させたが、そのプローブが計測できる非常に高速の温度変化に研究グループは驚いた。
 研究論文の筆頭著者、院生、Manjunath Rajagopalは、「以前に発表したものと全く違う結果があったことを確認した。非常に大きく、短命の鋭い温度スパイクを確認した。5℃程度で1秒足らずであった。計測のゴールドスタンダードは、これまで蛍光によるものであったが、この短い、強い熱放出は緩慢すぎて観察が難しい。高速計測できる単純なプローブでのみ、他の方法では見逃していたことを観察できることを実証した」と話している。
 研究者はこれまで、ミトコンドリアからの増加する熱放出は、グルコースの分解の増加から来ると仮定していたが、研究グループが計測した熱スパイクはあまりに高かった。
 「蓄積されたグルコースの代謝からはその種のエネルギー放出はあり得ない。全く筋が通らなかった。それはどこから来るか。そのエネルギー源がなければならない」とSinhaは言う。
 研究チームは、そのエネルギースパイクは、プロトンを電源とする細胞バッテリの放電と一致すると判断した。チームは、ミトコンドリア膜のたんぱく質チャネルを開ける特殊分子で同様の熱スパイクを誘導することでこれを検証した。
 「ミトコンドリアでは、グルコース代謝反応の一部は、プロトンバッテリとして一部のエネルギーを蓄積する。それは全プロトンを膜の片側に押し寄せ、それがエネルギー蓄積を作る。基本的に、その蓄積されたエネルギーを短絡したのである」とManju Rajagopalは説明している。
 研究チームは、その温度プローブを使って、他の細胞ラインでミトコンドリア短絡プロセスを研究する計画である。狙いは、治療目標の特定。例えば、脂肪細胞は自然に存在するたんぱく質であり、それはプロトンゲートを開いて蓄積されたプロトンエネルギーを解放する。研究グループは、生物学者と協力して、熱が必要な時に、例えば、体温が下がった時、脂肪細胞でそのプロセスがどのように起こるかを調べたいと考えている。また、たんぱく質を解放するプロトンが、肥満処置として標的になるかどうかを調べたい。
 「ガンは、別の応用である。がん細胞は、極端に走ることがある、再プログラムされた様々な代謝経路を持っている。このプローブは、多様な大使経路にかかわる熱活性を研究するツールになる」とRajagopalは話している。

(詳細は、https://news.illinois.edu/)