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マシンラーニングを使って量子デバイスの新たな可能性を開く

September, 30, 2019, Oxford--オックスフォード大学の研究者は、バーゼル大学、ランカスター大学と協力して、量子ドットを自動的に計測するアルゴリズムを開発した。
 量子ドットでは個々の電子のスピンが、量子コンピュータの最小情報単位となる。npj Quantum Informationの論文によると、研究チームは、マシンラーニングの助けを借りてこの膨大な時間のかかるプロセスを大幅に高速化できる方法を説明している。
 qubitsを自動計測し制御するアプローチは、大規模アプリケーションに向けた重要な一歩になる。
 オックスフォード大学材料学部、Dr. Natalia Aresは、「初めて、われわれはマシンラーニングを適用して、GaAs量子ドットの効率的計測を行った。これにより、膨大な量子デバイスの特性評価ができる」とコメントしている。
 層状半導体材料でできた量子ドットでは、個々の電子が、いわばトラップに捉えられている。そのトラップ内のさまざまなナノ構造に電圧を印加することにより研究者が電子を制御すると、スピンは確実に決まり、素早いスイッチが可能になる。特にこれが、トネリング効果によりいくつの電子がリザーバから量子ドットに入るかを制御できる。ここでは、電圧のわずかな変化さえも電子に大きな影響を与える。
 個々の量子ドットには、最適条件達成のために印加電圧は慎重に調整されなければならない。いくつかの量子ドットをまとめて大規模qubitsになるまでデバイスを拡張するとき、このチューニングプロセスには膨大な時間がかかる。半導体量子ドットは完全に同じではなく、個別に特性評価されなければならないからである。
 このブレイクスルーアルゴリズムは、そのプロセスの自動化に役立つ。研究チームのマシンラーニングアプローチは、従来のデータ取得と比較した計測時間と計測数を減らす。
 研究チームは、さまざまな電圧で量子ドットを流れる電流に関するデータで、そのマシンラーニングをトレーニングした。顔認証技術など、そのソフトウエアは、さらなる計測が必要な箇所を徐々に学習する。これは、最大情報獲得実現を視野に入れたものである。次に同システムはこうした計測を実施し、所定の基準にしたがって効果的な特性評価を達成し、量子ドットがqubitとして利用できるようになるまで、そのプロセスを反復する。
(詳細は、http://www.ox.ac.uk/)