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脳のイメージング改善にドーナツ形状のビーム

September, 27, 2019, Boulder--PhD学生、Brendan Heffernanは、電気、コンピュータ、エネルギー工学と物理学の助教、Juliet Gopinathと研究を始めたとき、以前の同助教の研究室で観察したものに興味をもった。
 Robert Niederriterは、光ファイバに2つのレーザビームをわずかに時間をずらして入力すると、ファイバが動き回っても、変わらないドーナツ形の出力が得られることを観察した。
 Niederriterのチームは、そのファイバが誘導放射抑制顕微鏡(STED)として利用できると仮定した。これは2014年のノーベル化学賞である。STEDでは、ドーナツ型ビームが、光の回折による解像度限界を回避する賢明な方法となる。
 数年かかったが、Heffernanは、Niederriterのビームを使って自由に動き回る動物の脳の活動を研究できる微小なSTED顕微鏡を実現する。研究チームの概念実証は、Scientific Reportsに発表された。
 麻酔したり拘束しりするのではなく、自由に動き回る動物の脳を撮像するためには、ビームを伝搬する光ファイバが動いたり曲がったりしても形状が変わらないビームが必要である。Heffernanは、それを完成するために光モードと光コンポーネントの組合せを確定することに成功した。同氏は、そのすべてを市販パーツで達成した、つまりその顕微鏡は、競合技術よりもはるかに安価に造れるということである。
 回折限界の回避によって研究者は、ニューロンの樹状突起棘のような非常に微小なものを見ることができる。脊椎における変化は、学習や記憶に結びついていることを研究者は知っているが、方法と理由が正確にわからない。
 「形状のこの動的変化が記憶にどのように影響するか示すことができない、それらがぼやけてしまうからである。もし、その変化を解像し、マウスが学習し活動する過程でそれらを見ることができれば、それらがどのように機能しているかをもっとはっきり知ることができる」とHeffernanは言う。
 チームは、国立科学財団から助成金も獲得しており、STED顕微鏡の小型バージョンを構築する。そのバージョンは、2つの装置に組み込まれる(CU Boulder Light Microscopy Core Facility and the CU Anschutz Advanced Light Microscopy Facility)。ここでは、覚醒した動物で日常活動中、学習や社会的相互作用などで、微小なニューロン構造における研究に顕微鏡を利用する。

(詳細は、https://www.colorado.edu)