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NIST、赤外周波数コムで生体シグネチャを計測

September, 25, 2019, Gaithersburg--NISTと協力機関の研究チームは、コンパクトな周波数コム機器を実証した。これは、全赤外光帯域を素早く計測し、物質の生物学、化学および物理的特性を検出する。赤外光は、可視光より長い波で進み,熱に関連した放射として最もなじみ深い。

NISTの設定は、テーブルのわずか数平方フィートであり、病気診断、製造で使用される化学物質の同定、バイオマスエネルギー収集などのアプリケーションの可能性がある。研究成果は、Science Advancesに発表された。

光周波数コムは、光の正確な周波数、つまり色を計測する。様々なコム設計が,次世代原子時計の開発を可能にし、メタンリーク検出など環境アプリケーションに有望である。生物アプリケーションは、開発が遅れている。一斑の理由は、関連する赤外光の生成と計測が難しかったからである。

生物学的アプリケーションを紹介するためにNISTチームは、NISTのモノクローナル抗体参照材料の「フィンガープリント」を検出する新しい装置を利用した。参照材料は、生体薬剤産業が処置の品質を確認するために用いる20000を超える原子で構成されているタンパク質。

「初めて、われわれの周波数コムが、全赤外分子フィンガープリント領域を同時にカバーした。他の重要な利点はスピード、分解能およびデータ取得のダイナミックレンジである」とプロジェクトリーダー、Scott Diddamsはコメントしている。

中赤外光は,研究プローブには特に有用である。分子は通常、これらの周波数で回転、振動するからである。しかしこれまで、この領域のプローブは難しかった。広帯域または可変光源や効率的なディテクタがなかったからである。可視光や近赤外光には、それらがある。

新しいNISTの装置は、これらの問題を克服している。単純なファイバレーザが、分子同定に使用される全域に及ぶ光を生成する、つまり中赤外から遠赤外波長、3~27µm(周波数10~1000 THz程度)。特定周波数で吸収される光の量が、分子の固有シグネチャを示す。新しいシステムは、近赤外範囲で動作するフォトダイオードを使って、吸収された光の電界を検出する点で画期的である。

「独自の特徴は、近赤外レーザで赤外電界を素早くサンプリングすることで、信号をリアルタイム検出する点にある。これには2つの利点がある。検出を赤外から近赤外へシフトする。近赤外では、われわれは安価な通信フォトダイオードを使うことができ、さらにわれわれはもはや赤外ディテクタの制約に悩まされることはない。赤外ディテクタは、極低温冷却(液体窒素)を必要とする」とDiddamsは説明している。

研究チームは、モノクローナル抗体参照資料におけるこれら3つのアミドバンド(炭素、酸素、窒素と水素を含む化学基)のシグネチャ振動を検出した。タンパク質のアミドバンドは、折り畳み、展開、アグリゲート機構の決定に使用される。検出されたバンドの特徴は、そのタンパク質がシート構造を持っていることを示していた。これは以前の研究と一致するものである。シートは、平面配列化学基を接続する。

生物学的アプリケーションに加えて、その新しい装置は、赤外光と凝縮物質間の相互作用の検出にも利用される可能性がある。目的は、分子振動あるいは回転にデータを蓄積する量子コンピューティングアプローチである。さらに、斬新なイメージング技術と組み合わせると、そのテーブルトップシステムは、サンプルのナノメートルスケールの画像を取得できる。これは、現状では、非常に大きなシンクロトロンファシリティの利用を必要としている。
(詳細は、https://www.nist.gov)