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Science/Research 詳細

微小レンズレス内視鏡、細胞より小さな対象の3D画像

September, 5, 2019, Washington--TUドレスデン(Dresden)の研究チームは、1個の細胞よりも小さな物体の3D画像を生成する新しい自己校正内視鏡を開発した。レンズなし、光学的、電気的、機械的コンポーネントなしで、その内視鏡の先端は、わずか200µm幅を計測する。
 生きた組織内の侵襲性の少ないイメージングツールとして、その極薄内視鏡は、さまざまな研究や医療アプリケーションを可能にする。研究成果は、Frontiers in Optics + Laser Science (FIO + LS)会議で発表される。
 TU DresdenのJuergen W. Czarske, Director and C4-教授、論文の筆頭著者によると、「そのレンズレスファイバ内視鏡は、ほぼ針のサイズであり、ファイバの曲げや捻れに対するロバストなキャリブレーションで、侵襲性の少ないアクセス、高コントラストイメージング、刺激を可能にしている」。その内視鏡は特に、光を使って細胞活動を刺激するアプローチ、光遺伝学に有用である。また、医療処置中の細胞や組織のモニタリング、技術的検査にも有用である。

自己キャリプレーティングシステム
 従来の内視鏡は、カメラと光を使って、体内の画像を撮る。先頃、研究チームは光ファイバによる画像を撮る代替法を開発した。これにより大きなカメラやコンポーネントが不要になり、大幅に薄型の内視鏡が可能になった。しかし、それらは有望ではあるが、これらの技術は、温度変動耐性がないこと、ファイバの曲げやねじれなどに悩まされている。
 これらの技術を実用的にするための主な障害は、それらが複雑なキャリブレーション(校正)プロセスを必要としていることである。多くの場合、ファイバが画像を収集している間にキャリブレーションが必要になる。これに対処するために、研究チームは、わずか150µm厚の薄いガラス板をコヒレントファイババンドルの先端に追加した。ファイババンドルは、内視鏡アプリケーションで一般に使用されている光ファイバタイプ。実験で使われたコヒレントファイババンドルは、約350µm幅で、1万コアで構成されている。
 センターファイバコアが照射されると、ビームを放出し、ビームはファイババンドル中に反射され、光学的伝達関数として知られている光が伝搬される仕方を計測するための仮想的ガイドスターとして機能する。光学的伝達関数は、システムが直ちに自己キャリブレーションするために利用する重要データを供給する。

焦点の合った視界を維持
 新しいセットアップの重要コンポーネントは、空間光変調器である。これは、光の方向を操作し、遠隔焦点調整を可能にする。空間光変調器は、光学的伝達関数とファイババンドルの画像を補償する。ファイババンドルからの後方反射光は、カメラで捉えられ、光の位相を計測するために参照波と重ね合わせられる。
 仮想ガイドスターの位置が、計測器の焦点を決める。最小焦点径は約1µmである。研究チームは、適応型レンズと2Dガルバノメータミラーを使い、焦点をシフトし、さまざまな深さでのスキャニングを可能にした。

3Dイメージングのデモ
 研究チームは、140µm厚カバースリップ下で3D標本を撮像するためにそれを使い、デバイスをテストした。画像レート4サイクル/秒で、400µmにわたり13ステップで画像面をスキャニングし、デバイスは3D標本のすべてで粒子の撮像に成功した。しかし、ガルバノメータミラーの角度が増すに従い、焦点が悪化した。研究チームは、今後の研究は、この限界に対処することであると考えている。また、より高いフレームレートのガルバノメータスキャナを使うことで、より高速の画像取得が可能になる。