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視神経を直接刺激して視覚信号を脳に送る

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August, 26, 2019, Lausanne--スイス連邦工科大学(EPFL)の研究者は、視神経を直接刺激することで目の見えない人に視覚信号を与える新しい方法を研究している。動物での予備的研究は、新しいタイプの神経電極を使い、はっきりと知覚できる信号を供給するものである。
 スイスのEPFLとイタリアのScuola Superiore Sant’Annaの研究チームは、目の見えない人のために、眼球を完全にバイパスし、メッセージを脳に送る技術を開発している。研究チームは、OpticSELINEという新しいタイプの神経内電極で視神経を刺激することでこれを行っている。研究成果は、Nature Biomedical Engineeringに報告している。
 「神経内刺激は、感覚機能と運動機能回復のためのいくつかの神経機能代替機器にとって貴重なソリューションである。このアプローチの移行可能性は極めて有望である」とEPFLのSilvestro Miceraは説明している。
 失明の影響をうける人は、世界で推定3900万人。遺伝、網膜剥離、トラウマ、視覚野の脳卒中、緑内障、白内障、炎症あるいは感染などで失明することがある。失明には一時的なものもあり、医療処置が可能である。永久失明の人には、どう対処するか。
 眼内閃光を生成するという考えがある。光を直接見るのではなく、白色パターンの形で光を感覚する。失明者のための人工器官、網膜移植は、除外基準に悩まされている。例えば、世界で50万人の人々が、網膜色素形成、遺伝疾患のために失明しているが、臨床的な理由で網膜移植を受けるにふさわしい患者はわずか数100人。視覚野を直接刺激する脳移植は、リスクはあるが、もう1つの戦略である。先験的に、新しい神経内ソリューションは、除外基準を最小化する。視神経と脳への経路が損傷を受けないことが多いからである。
 1990年代、視覚神経を刺激しようとした試みは、結論が出なかった。EPFLのMedtronic Chair、神経工学、Diego Ghezziは、「当時、神経カフ電極を使った。問題は、これらの電極は硬くて動き回る。したがって、その神経線維の電気刺激は安定しない。患者は、刺激を解釈することが難しい。異なる何かを見続けなければならなかったからである。さらに、表層繊維を採用していたので、カフ電極は、選択性が限られていた」と説明している。
 神経内電極は、正に、被検者に豊富な視覚情報を供給する解になる可能性がある。研究者によると、それらは安定しており、被検者にインプラントされると動き回ることはあまりない。カフ電極は、神経の周りに外科的に設置される。それに対して、神経内電極は、神経を貫通する。
 研究チームは、12電極の電極アレイ、OpticSELINEを設計した。これらの電極が視神経内の様々な神経線維を刺激する際に、どの程度効果的であるかを理解するために、研究チームは、OpticSELINEを介して視神経に電流を流し、視覚野の脳の活動を計測した。皮質信号をデコードするために精巧なアルゴリズムを開発している。個々の刺激電極が特殊な、固有の皮質活性化パターンを誘発し、視神経の神経内刺激が選択的で役に立つことを示唆している。
 暫定研究として、これら皮質パターン背後の視覚は、未知のままである。Diego Ghezziは、「当面、神経内刺激が、有益な視覚パターンを提供する可能性があると考えている。これらのパターンを微調整するには、今後の臨床試験で患者からのフィードバックが必要になる。純粋に技術的観点から、明日にでも臨床試験を行うことができる」と話している。
 現在の電極技術で、ヒューマンOpticSELINEは、最大48-60電極で構成できる。この制限された電極数は全視覚を回復するには十分ではない。しかし、日常の生活を視覚的に支援できる限定的な視覚信号を工学的に作ることは可能である。