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南洋理工大学物理学者、光が非磁性金属を磁化すると提案

Justin Song Magnetism with light

August, 6, 2019, Singapore--南洋理工大学(NTU)とコペンハーゲンのニールスボーア研究所の物理学者は、非磁性金属をレーザを使って磁石に変換する方法を考案した。
 磁石とその磁界は、一般に回転する電流によって生成される、日常的な電子コイルに見られるのと同じである。これらコイルの「利き手」(時計回りか反時計回りか)が、生まれる磁場の方向を決める。
 研究チームは、非磁性金属ディスクを直線偏光で照射(固有の利き手を持たない光)したとき、ディスクに循環電流、つまり磁性が自然発生することを理論化する。
 この方法は原理的に、光を使って「オンデマンドで」非鉄金属を磁石に変更することができる。
 NTU数理科学学部准教授、Justin Songとニールスボア研究所、准教授、Mark Rudnerによる新理論は、Nature Physicsに発表された。
 研究チームの提案の定式化で、チームは、光と物質の相互作用について考える新方法を開発した。
 Songによると、その構想は新しい強力な光-物質相互作用の使い方の一例で、これによって「オンデマンド」で材料特性を実現することができる。実験的に理解するなら、これは、グラフェンなど幅広い高品質プラズモン材料で、広範な潜在的アプリケーションを開くことになる。

プラズモン場の利用
 多くの物質の特性は、従来、固定しており、その原子配列によってナノスケールで決まっていると考えられている。例えば、物質の原子構成は、それが容易に電気を通すか、あるいは絶縁/非伝導挙動を示すかを決定する。
 研究チームは、プラズモン、金属における電気の局所振動、それらが作り出す強い振動電場が、物質の特性を変えるためにどのように利用できるかを探求した。
 光がフォトンで構成されるように、プラズマ振動は、一種の擬粒子、プラズモンで構成されている。プラズモンは、それを駆動する場と同じ方向に振動し動く傾向がある(例えば、光場の偏光方向)。
 しかし、光照射が十分に強いとき、非磁性金属ディスクのプラズモンは、たとえ直線偏向光で駆動されても、左回りか右回りか、いずれかに自発的に回転することを研究チームは確認した。
 「これは、物質の固有特性が変えられるシグネチャであった。プラズモンの強力な内部場が物質の電子帯構造を変えるとき、プラズモンも同じように変え、プラズモンが自発的に対掌性を示すようにするフィードバックループを設定する」とSongは説明している。
 プラズモンのこのキラル動作は磁化を発生させ、それが今度は、研究チームの構想にある非磁性金属ディスクを磁化する。
 研究チームの主張では、その理論的分析における重要な観察は、強いプラズモン振動電場は、金属の電子の動力学を変更することができる。
 Rudnerは、「物質内の電子観点から、電場は電場である。この振動する場が、物質内部のプラズモンであるか、物質に対するレーザ照射によって生ずるか、それはどうでもよい」と主張する。
 研究チームは、プラズモンの内部場からのフィードバックが、系の中で自発的な磁化への不安定性の引き金になるとき、今回の洞察を利用してその条件を理論的に実証した。チームは、この理論的なアプローチが、グラフェンのような、広範な高品質プラズモン材料で実現されると期待している。

突発的な挙動
 光を使って材料の特性を変えるという考えは、近年、多くの科学的注目を浴びている。しかし、発表された多くの例は、光照射に存在する特性を材料に吹き込んでいる(例えば、材料に円偏光を照射すると、材料は対掌性、つまり巻き方を獲得する可能性がある)。あるいは、すでに材料に存在する特性を定量的に強化する。
 こうしたアプローチとは違い、研究チームは、さらに踏み込む。
 「われわれは、プラズモンがある種の‘別のライフ’、つまり新たな特性の‘覚醒’を獲得できることを確認した。これは、プラズモンをホストする金属にも、それを駆動する光場にも存在しなかった特性である」とSongは付け加えている。プラズモンの挙動は、光場と金属、両方の本来的な対称性を破るという意味で突発的である。
 全体が部分の総和を超える、突発的な挙動は、多くの粒子が相互に作用し、集合的に動作することによって生まれる。それは、一般に温度によってコントロールされる強磁性や超電導など有用な物質の総に関わるものである。チームの研究は、この考えをプラズモンに拡張し、それが光照射によっていかに制御されるかの提案である。
(詳細は、https://www.ntu.edu.sg/)