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米国NRL、量子ネットワークのドット接続

July, 18, 2019, Washington--米国海軍研究所(NRL)は、量子技術における今後の進歩を可能にする新技術を開発した。
 その技術は、数千の原子でできた微小粒子、量子ドットを圧迫して、正確に同じ色、1メートルの100万分の1以下の間隔の同じ位置のシングルフォトンを放出させる。
 「このブレイクスルーは、量子情報技術と脳からヒントを得たコンピューティングの開発を速める」と同プロジェクト研究チームの一人、NRL化学者、Allan Brackerはコメントしている。
 量子ドットが通信する(相互作用)するには、同じ波長で光を放出しなければならない。量子ドットのサイズが、放出波長を決める。しかし、2つと同じ雪片がないように、正確に同じサイズ、形状の量子ドットが2つ存在することはない、すくなくとも最初にできた時にはあり得ない。
 プロジェクトの首席研究者、物理学者、Joel Grimによると、自然変動のために、正確に同じ波長で光を放出することは不可能である。
 「まず、完全に同じ量子ドットを作る代わりに、われわれは、レーザ結晶化酸化ハフニウムにより、後で量子ドットをシュリンクラップすることで波長を変える。このシュリンクラップは、量子ドットを圧縮し、制御可能な方法でその波長を変える」とGrimは説明している。
 過去に他の研究者が量子ドットの波長「チューニング」を実証したが、波長と位置の両方で研究者が正確にそれを達成したのはこれが初めてである。
 「すなわち、われわれは2個や3個でそれができるだけでなく、電気ではなく光コンピューティングに使える集積回路内の多くの量子ドットでできる」とBrackerは言う。
 NRLの幅広い研究専門家と科学資産により研究チームは、比較的短時間にこの量子ドットブレイクスルー実現へのさまざまなアプローチをテストすることができた。
 「NRLは、結晶成長、デバイス製造、量子光計測のための所内ファシリティを持つ。つまり、われわれは、成果を直ちに調整して、材料特性を迅速に改善することに取り組む」とGrimは話している。
 Grim とBrackerによると、量子ドットの操作における今回の成果は、多くの分野で今後の前進の基盤となり得る。
 「量子ドットの波長をチューニングするNRLの新しい方法は、コンピューティング、通信、センシング向け量子物理学の未知の特性を利用する新技術を可能にする。また、微小なレーザのネットワークに基づいた神経形態学的、あるいは脳からヒントを得たコンピューティングにもつながる可能性がある」とBrackerは話している。
 スペースや電力効率が制限要素となるアプリケーションは、このブレイクスルーアプローチから恩恵を受けるかも知れない、と研究者は考えている。
 研修成果は、Nature Materialsに発表された。論文タイトル“Scalable in operando strain tuning in nanophotonic waveguides enabling three-quantum-dot superradiance.”