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新しいアプローチで医療診断用の詳細な中赤外画像を取得

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June, 5, 2019, Washington--デンマークのDUT Fotonikなど、マルチ研究グループの研究チームは、独自の高解像度イメージング法を開発した。これは,ミリ秒オーダーで起こる高速イベント、動的プロセスの中赤外スペクトル画像を撮ることができる。このスペクトル範囲は、サンプルの詳細な化学組成を明らかにすることから、多くのアプリケーションで利用されている。

「この新しいアプローチは、いずれ、さらに詳細な検査を必要とする症状を同定するために医療生検の事前選別に使用されるようになる」とDTU Fotonikの研究チームメンバー、Peter Tidemand-Lichtenbergは話している。「精度や診断速度が向上するような方法でガンや他の病気の化学的シグネチャを探すために使える」。
 研究グループは、その新しいイメージングアプローチをOpticaに発表した。チームは、ガスフローのイメージング、食道組織のガンと正常例を区別することで、その技術の潜在的アプリケーションの一部も実証している。

「中赤外分光は、化学分析では強力なツールと見なされているが、手頃な価格の光源と感度のよいディテクタがないために適用が妨げられている。この障壁を克服するために,われわれは、化学的シグネチャが最も明確な中赤外域からの情報を近赤外に変換するアプローチを採用した。近赤外では今日のカメラ技術が最も成熟していて感度が良い」とTidemand-Lichtenbergは説明している。

実用的な中赤外分光計
研究チームは、非線形周波数変換として知られるプロセスを利用した。ここでは、フォトンにエネルギーを加えて、その波長を変える。周波数変換、アップコンバージョンは、レーザ出力の波長を変えるためによく使われるが、DTU Fotonikの研究者は、中赤外画像全体を近赤外波長域にシフトできる検出システムを開発した。ただし、全ての空間情報は維持されている。

同システムは、Institute of Photonic Sciences (ICFO)が開発した新しい中赤外光源を組み込んでいる。このシングル波長光源は、異なる波長に可変でき、また周波数変換を利用して中赤外光を生成することもできる。実際、研究チームは同じパルス近赤外レーザを2つのものに利用した。チューナブル中赤外光の生成、画像アップコンバージョンの実現である。

「このアプローチは、完全同期で高ピークパワーパルスを生み出し、パルスの高度な時間制御が不要となり、優れたSNR(signal-to-noise ratio)の画像が得られる。加えてわれわれの光学的設定は、画像取得後に後処理が必要ない方法で設計されている」とTidemand-Lichtenbergは説明している。

高速イベントと複雑なサンプルのイメージング
 研究チームは、その新しい中赤外アップコンバージョン分光学アプローチのイメージングスピードを実証した。これには,ガスフローのピーク吸収に一致するように照射レーザをチューニングした。また、40画像/秒でビデオを撮影した。

さらに、エクセター大学(Exeter University)のチームをリーダーとするパイロット実験も行った。そこでは、同システムを使ってガンと健全な食道組織サンプルを評価した。そのシステムを使って形態とスペクトル分類が、標準的な染色病理学画像とよく一致していることを確認した。

「われわれのアップコンバージョンイメージングアプローチは、包括的であり、ビデオフレームレート実現、中赤外モノクロイメージングの大幅な簡素化である」とTidemand-Lichtenbergは言う。
「この技術からのスペクトル情報は、マシンラーニングと組み合わせることで、染色不要の化学シグネイチャに基づいた、より高速で、恐らくもっと客観的な医療診断を可能にする」と同氏は話している。