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UMD、3Dナノプリンティング戦略で医療、ロボティクスに大変革

May, 30, 2019, College Park--メリーランド大学(University of Maryland)のエンジニアは、初の3Dプリント流体回路素子を作製した。これは、非常に小さく、人の髪の毛幅に10個を並べることができる。この素子は、一方向だけに流体を確実に流すマイクロバルブである。これは、直接体内で治療を行うインプラント可能デバイスには極めて重要な特性である。
 マイクロチャネル、バルブ、チャンバなどのマイクロスケール流体コンポーネントは、微小流体「回路」で流体を流し、制御する。これは、電気を流し、それを制御する電子回路のコンポーネント同じである。電気回路では、ダイオードが、電気に対して一方向バルブである。UMD研究チームの新しいマイクロ流体ダイオードは、3Dナノインプリント戦略の初の利用を示している。これは、コストと時間という障壁を除去し、個別化医療や薬剤デリバリなどの分野でマイクロ流体回路の医用における進歩を活発にする。
 「電気回路の縮小がエレクトロニクスの分野に革命を起こしたように、3Dプリントマイクロ流体回路のサイズを飛躍的に縮小できると、薬学スクリーニング、医療診断、マイクロロボットなどの分野に新たな時代を準備することになる」とUMD機械工学・バイオエンジニアリング准教授、Ryan Scocholは話している。
 同氏は、院生Andrew Lamont and Abdullah Alsharhanとともに、Natrue : Scientific Reportsで新戦略について説明している。
 研究者たちは、近年、医療デバイスを構築し、“organ-on-a-chip”を実現するために新しい3Dナノインプリンティング技術に踏み込んでいる。しかし薬剤、栄養素、他の流体をそのような小さな環境に漏れることなく押し込むことの複雑さが、その複雑さを克服するコストとともに、精密な流体制御を必要とするほとんどのアプリケーションで、その技術を非実用的にしている。
 それどころか、研究者たちは、新しいUMD流体ダイオードよりも著しく大きな形体をプリントする積層造形技術に制約されていた。
 研究チームによると、戦略を分けるものは、ゾルゲルとして知られるプロセスの利用である。これによりチームは、普通のポリマでプリントされたマイクロスケールチャネルの壁にダイオードを固定することができた。ダイオードの微小構造は次に、チャネル内部に、チャネルの上から下にレイヤー毎にプリントされた。
 その結果は、以前のアプローチと比べるとわずかなコスト、短い時間で作製された完全密封、3Dマイクロ流体ダイオードである。
 達成した強力な密封により、回路は汚染から守られ、ダイオードに押し込まれるどんな流体も間違った時間、場所に放出されることはない。また、マイクロチャネルの壁の形を整えることで一段と強化された。
 「以前の方法は、同様のコンポーネントを製造するために時間とコストを犠牲にしたが、われわれのアプローチは、本質的に同時に両立させる。今度は、以前よりももっと少ない労力で複雑な流体システムを速く、安価に3Dナノプリントすることができる」とSocholは話している。