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MIPT、ナノレーザ設計で大きな前進

Рисунок 1

May, 28, 2019, Moscow--MIPTの研究チームによると、ナノレーザは、最近新しい種類の光源として登場してきた。サイズは、1mのわずか数100万分の1で、マクロレーザとは非常に異なる固有の特性を持つ。しかし、どの電流でナノレーザの出力放射がコヒレントになるかを決定することはなかなかできない。また実用的なアプリケーションでは、ナノレーザの2つの領域を区別することが重要である。大電流で、コヒレント出力をもつ真のレーザ発振と、定電流で非干渉出力LEDのような領域である。モスクワ物理学・技術研究所(MIPT)の研究チームは、どんな環境でナノレーザを真のレーザみなすかかを見いだす方法を開発した。研究成果は、Optics Expressに発表された。
 レーザは、家電製品、医療、産業、通信などで広く用いられている。数年前、新しい種類のレーザが開発された、ナノレーザである。その設計は、数10年来知られているヘテロ構造をベースにした従来の半導体レーザに似ている。違いは、ナノレーザのキャビティが極めて小さい、この光源から放出される光の波長オーダーであることである。主に可視光と赤外光を生成するので、そのサイズは1メートルの100万分の1のオーダーである。
 近い将来、ナノレーザは、集積光回路に組み込まれる。そのような光回路では、光導波路ベースの新世代高速インタコネクトが必要とされるようになる。これにより、CPUsやGPUsの性能が数桁向上する。同様にして、光インターネットの登場が接続速度を高速化し、同時にエネルギー効率も上昇している。
 また、間違いなく、これがナノレーザの唯一の可能なアプリケーションではない。研究チームは、すでに化学的、生物学的センサを開発している、これは1メートルの百万分の1程度であり、さらに数10億分の1程度の機械的応力センサも開発している。ナノレーザは、人間も含め、生物の神経活動の制御にも使用されると見られている。
 レーザと見なされる放射光源では、多くの要件を満たす必要がある。主なものは、それがコヒレント放射でなければならない点だ。レーザ独特の特性の一つは、いわゆる発振しきい値の存在である、これはコヒレンスと密接に関係している。このしきい値以下のポンプ電流では、出力放射は自然発光となり、従来のLEDsの出力となんら変わらない。しかし、しきい値電流に達すると、放射はコヒレントになる。この点で、従来のマクロレーザの発光スペクトルは、狭くなり、その出力パワーは急上昇する。この出力がスパイクする特性は、発振しきい値を判断する簡単な方法である、つまり出力パワーがポンプ電流でどのように変わるかを調べる(図1A)。
 多くのナノレーザは、従来のマクロレーザのように動作する。つまり、閾値電流を示す。しかし、デバイスによっては、発振しきい値は、出力 vs.ポンプ電流カーブで解析しても正確に示すことはできない。特別な特徴はなく、ログスケールで直線にとなるに過ぎないからである。そのようなナノレーザは「しきい値レス」として知られている。ここから疑問が生ずる、どの電流で放射がコヒレントになるか、つまりレーザらしくなるのか。
 これに明確に答えるには、コヒレンスを計測すればよい。しかし、発振スペクトルや出力と違い、コヒレンスは、ナノレーザの場合、計測が非常に難しい。ナノレーザの内部プロセスで起こる時間スケールである、1秒の数兆分の1で強度変動を記録することができる装置が必要になる。
 MIPTのAndrey Vyshnevyyと Dmitry Fedyaninは、コヒレンス直接計測と言う技術課題を回避する方法を見いだした。両氏は、主要レーザパラメータを使い、ナノレーザ放射のコヒレンスを定量化する方法を開発した。研究チームの主張によると、その技術を利用することでどんなナノレーザでもしきい値電流を測定できる。また、「しきい値レス」ナノレーザでも実際は、LEDとレーザ発振状態を区別する明確なしきい値電流を持つことを確認した。放出光は、このしきい値電流以下ではインコヒレント、その上ではコヒレントである。
 驚いたことに、ナノレーザのしきい値電流は、その出力特性、つまりマクロレーザの明らかな兆候である、発振スペクトルの狭線幅化とは全く関係ないことが分かった。
 図1Bは、たとえ、目立ったキンクが出力特性に見られても、発振域への移行はもっと高い電流で起こることを示している。これは、レーザの研究者が、ナノレーザに予測できなかったことである。
 「ナノレーザに関するほとんどの論文で、発振領域は達成されなかったことをわれわれの計算は示してている。出力特性のキンクの上で計測する研究にも関わらず、ナノレーザの発光はインコヒレントだった、実際の発振しきい値はキンク値よりも数桁上だったからである。ナノレーザの自己発熱のために、コヒレント出力が達成できないことは頻繁にある」とAndrey Vyshnevyyは話している。
 したがって、実際のしきい値と幻のしきい値を区別することが極めて重要である。コヒレンス計測とその計算は難しいが、研究チームは、どんなナノレーザにも適用できる簡便な式を考案した。その式と出力特性を使うことで、ナノレーザエンジニアは、作成した構造の閾値電流を迅速に計測できる。
図1 従来のマクロレーザで出力パワーのポンプ電流への依存性(A)、典型的なナノレーザ(B)では所定の温度で。
(詳細は、https://mipt.ru/)