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チップベースのゴーストイメージングに新たな前進

May, 27, 2019, Lyon--進歩によって、車や電話向けの高速、安価なチップベースイメージングデバイスが可能になる。
 研究チームは、初めてゴーストイメージングして知られる非伝統的なイメージング法が、ローコスト、チップベース光照射デバイスを使って実行できることを示した。チップベースゴーストイメージングへのこの重要なステップは、そのイメージング法を実用的にするものである。アプリケーションは、チップスケール生体イメージング、LiDAR、IoTセンシングデバイス。
 ゴーストイメージングには大きな関心が向けられている、複雑で、一般には高価なカメラの代わりにローコストシングルピクセルディテクタで実行できるからである。圧縮センシング計算法と組み合わせると、ゴーストイメージングは、従来の方法よりも高感度、高速のイメージングを可能にする、特に非可視波長範囲で、言えることである。
 OSAのOptics Expressでは、東京大学の研究チームは、一般的にゴーストイメージングに使用されている大きな光コンポーネントをどのように新開発のチップベース、わずか4×4㎜の光フェーズドアレイ(OPAs)で置き換えたかを説明している。
 「ローコスト、シングルチップイメージングデバイスが商用化されると、ローコストLiDARが実現する。LiDARは、自動運転車、ドローン、自律ロボットが周囲を見るために利用する技術である。また、小型イメージングデバイス、スマートフォンに組込み、3Dイメージングやヘルスケアモニタリングを改善する」と研究チームリーダー、種村拓夫はコメントしている。

より高速、ローコストのイメージング
 ゴーストイメージングは、時間的に変化するランダムスペクルパタンで対象を照射することで動作する。対象を透過して伝播(または反射)された光パワーとスペクルパタンの強度分布を関連付けることで、対象の画像が得られる。
 このイメージングアプローチは、10年以上前に提案されていたが、スペクル照射パタンを生成するために大きくて低速の空間光変調器を使うので、ゴーストイメージングは、主に実験室に限定されていた。
 新しい研究では、研究チームは大型OPAsを利用する従来の課題を克服した。OPAsは、光位相を制御するために調整可能な集積導波路素子アレイを利用する。全ての光位相を精密に整列させようとすると、これは実際、骨が折れるので、その代わりに、研究チームは、位相制御素子がランダムに動作するOPAを設計した。これにより、ランダムに変わるスペクルパタンを生成できるようになった。つまり、ゴーストイメージングにとって完璧である。
 「大きくて低速(一般にkHz範囲で動作)の、以前の空間光変調器を利用するゴーストイメージング実装に比べて、集積フェーズドアレイの利用は、遙かにコンパクトでコストは下がる」と種村は言う。「われわれのアプローチは、GHz動作速度を超える可能性がある、SLMベースアプローチに比べると6桁高速である」。
 ランダムスペクルパタンを作るために、研究チームは、迅速に変化するランダム電気信号をOPAの128の集積位相シフタ素子に加えた。研究チームは、X方向に90以上の分解可能点(位相シフタの数で決まる)、Y方向に14ピクセル(テストされる波長数で決まる) 2Dイメージングを実証した。。結果は、理論予測とよく一致した。
 
より小型で安価なLiDAR
 「このタイプのイメージングデバイスは、特にLiDARに有用である。これは現在、レーザビームを操作するために大きな機械的ミラーを使って3D画像を生成している。大衆車に普及するには、LiDARのコスト、サイズ、応答時間は、一桁から2桁下がる必要がある。チップスケールゴーストイメージングデバイスは、これを達成できる」と種村氏は言う。
 研究チームは、その新技術を一段と実用的にするために継続して取り組んでいる。チームは、OPAをGHz以上で動作させる電気-光位相シフタで実験を行っている。また、スキャンレートのさらなる向上を計画しており、全ての光コンポーネントをOPAと同一チップ上に集積することを考えている。チップ外のコンポーネントなしで2Dおよび3Dイメージングを達成するためである。
 「光源やディテクタを含め、全ての必要なコンポーネントをチップ上に集積できると、シングルチップゴーストイメージングデバイスが可能になる」と種村氏は話している。