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ETH-Zurich、視界改善にナノテクと太陽光を利用

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May, 23, 2019, Zurich--ETH研究チームが開発した新しいコーティングは、透明表面の曇りを防止する。電気を利用するのではなく、そのコーティングは太陽光を利用して表面を加熱する。

スキーをしたり、メガネをかけたり、カメラを利用したり、車を運転する人は誰でも、そうした問題を熟知している。寒い環境から湿った環境に入ると、メガネ、カメラレンズ、窓ガラスが直ちに曇る。ETH-Zurichの研究チームは、この効果を低減する新しい透明材料被覆を開発した。わずか数ナノメートル厚、耐久性のある被覆は、非導電酸化チタンに内蔵した金ナノ粒子でできている。

「われわれのコーティング(被覆)は、太陽の可視光の一部と赤外成分を吸収し、光を熱に変換する」と論文の筆頭著者、博士課程学生、Christopher Walkerは説明している。これが表面を3~4℃加熱する。曇りを防ぐのは、この温度差である。

パッシブヒーティング
 熱は、自動車の窓の曇りの問題への解でもある。車内の暖房システムの温かい空気がフロントウインドウを温める、一方リアウインドウは電気の発熱グリッドがついている。しかし、こうした方法とは違い、ETH研究チームの新しいコーティングはパッシブで機能する。必要な唯一のエネルギー源は太陽であるので、そのコーティングは、メガネやゴーグルなどウエアラブル製品に最適である。

Dimos Poulikakos教授グループのもう1人の博士課程学生、Efstratios Mitridisは、「通常、光を吸収し、それを熱に変換するのは暗色表面であるが、われわれは同じ効果をもつ透明表面を作った」と説明している。

温度の急激な低下、あるいは湿度の上昇があるといつでも表面に凝結が起こり、水の微小水滴が形成される。これが、大気中の霧と同じような方法で、様々な方向からの入力光を分散させる。曇りを防ぐために熱を使用する代わりに、影響を受けやすい表面を親水剤で被覆することができる。それらは水分を引きつけるので、これらの親水剤は、水滴を分離させるのではなく、表面で確実に凝結が液体の非常に薄い膜を形成する。メガネの曇り止めスプレーは、通常、こうした原理で機能する。 

現在、陽光を当てた時、金ナノ粒子と酸化チタン被覆の曇った表面は、通常の曇り止め防止剤で処置した表面よりも4倍速くクリアになることが実験で示された。「スプレイ処置は、しばらくするとその効果が失われることがある。曇り止め防止膜が乾いたり、不均等に分散されるからである」とWalkerは言う。「われわれのもののように耐久性のあるコーティングは、スプレイ処置よりも遙かに長持ちである。スプレイは、実質、毎日処置しなければならない」と同氏は付け加えている。

ETH研究チームは、この新しい方法の市場投入を計画している。
「われわれは、すでにロバストなコーティングを確実に何年も持つように改善するつもりである。また、その技術をラボスケールから産業規模にしたいと考えている」とWalkerは話している。アプリケーションは、自動車の窓ガラス、バックミラー、スキーのゴーグル、ドライビングマスクなどと幅広い。