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Science/Research 詳細

RMIT大学、3D光学的生検の可能性を示す

May, 10, 2019, Melbourne--RMIT大学の研究チームは、既存の光ファイバ技術を使って体内組織の顕微3D画像を生成できることを示した。これは、3D光生検への道を開くものである。
 組織を採取し、分析のためにラボに送る通常の生検と違い、光学的生検を利用すると医師はリアルタイムで体内の生きた組織を検査できる。
 この侵襲性の少ないアプローチは、極細マイクロ内視鏡を使い、診断のために、あるいは手術中に体内を詳しく見るが、通常は2次元画像しか生成しない。
 オーストラリア、メルボルンのRMIT大学による研究は、既存のマイクロ内視鏡技術の3D可能性を示した。
 Science Advancesに発表された論文によると、その開発は、3D光学生検への重要な一歩であり、診断と精密手術を改善するものとなる。
 論文の筆頭著者、Dr Antony Orthによると、その新技術は明視野イメージングアプローチを使い、立体的に顕微画像を生成する。これは、3Dグラスをかけて見る3D映画と同じである。
 「立体視は、人の視覚に自然のフォーマットである。われわれは、対象物を2つの異なる視点で見て、脳でこれらを処理して深さを知覚する」と同氏は説明している。
 「マイクロ内視鏡で、数千の微小光ファイバと同等の何かができることを示した。
 これらの光ファイバは、多重視点から自然に画像を撮るので、われわれはマイクロスケールの深さ知覚が得られる。われわれのアプローチは、全てのその顕微画像を処理し、視点を統合して、検査されている組織の深さの視覚化、つまり3D画像を生成する」。
 研究チームは、光ファイババンドルが明視野の形式で3D情報を伝達することを明らかにした。
 研究者の課題は、記録された画像を生かすこと、それを解読し、意味のある画像を生成することであった。
 新技術は、それらの課題を克服しただけでなく、光ファイバが曲がるときにも機能する。これは体内の臨床利用には重要である。
 そのアプローチは、明視野イメージングの原理を利用する。そこでは、伝統的に,マルチカメラが、わずかに異なる視点から同一シーンを見る。
 明視野イメージングシステムは、個々のカメラに入る光線の角度を計測し、光の角度分布情報を記録して「多視点画像」を生成する。
 しかし、光ファイバを通して、この角度情報を記録する方法が問題である。
 「われわれが行った重要な観察は、光の角度分布が、これらの光ファイババンドルが伝送する光の細部にわずかに隠れていることである」とOrthは言う。
 「ファイバは、本質的に、最初の光入射を記憶している、つまり他端の光のパタンは、光がファイバに入射した角度に依存する」。
 これを念頭に置いて、RMIT研究チームは、出力パタンを光線角度に関連付ける数学的フレームワークを開発した。
 「システムに入射する光線の角度を計測することで、単一画像の情報だけを使って微小蛍光サンプルの3D構造を計算することができる」と主席研究者、Brant Gibson教授は言う。
 「光ファイババンドルが、明視野カメラの微小版として機能する。われわれのアプローチは、すでに臨床利用されている光ファイババンドルに適合的であり、これはすばらしいことだ。だから、3D光生検は、意外に早く実現する可能性がある」。
 医療アプリケーションに加えて、その超スリムな明視野イメージングは、生物学研究における生体内3D蛍光顕微鏡で利用できる可能性がある。
(詳細は、https://www.rmit.edu.au)