April, 17, 2019, 東京--理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター量子機能システム研究グループの中島峻研究員、野入亮人特別研究員、樽茶清悟グループディレクター(東京大学大学院工学系研究科教授(研究当時))、量子システム理論研究チームのダニエル・ロスチームリーダー(バーゼル大学物理学科教授)、ルール大学ボーフム校のアンドレアス・ウィック教授らの国際共同研究グループは、半導体量子ドットデバイスにおいて、電子スピン量子ビットの量子非破壊測定に成功した。
研究成果は、半導体量子コンピュータの必須要素である「量子ビットの低エラー読み出し」と「量子エラー訂正」の実現に道筋を示したと言える。
汎用量子コンピュータの実現には、量子ビットの高精度な制御と読み出しを用いて、量子エラー訂正回路を実装することが必要不可欠と考えられている。しかし、従来の電子スピン量子ビット読み出し手法では、エラー率を十分に低減することが原理的に困難。また、量子エラー訂正に必要とされる量子非破壊性は、これまでに実証されていなかった。
国際共同研究グループは、高精度制御に適した「電子スピン量子ビット」と高速読み出しに適した「補助量子ビット」を結合したハイブリッドデバイスを用いて、補助量子ビットの測定を通じた電子スピン量子ビットの量子非破壊測定に成功した。さらに、非破壊性を応用して測定を繰り返すことで、読み出しエラー率を指数関数的に低減できることを実証した。
研究成果は、英国の科学雑誌『Nature Nanotechnology』の掲載に先立ち、オンライン版に掲載された。
(詳細は、http://www.riken.jp/)