コヒレント特設ページはこちら

Science/Research 詳細

新しい3Dプリンター、光線を使って対象物を成形し製品デザインを変更

February, 7, 2019, Berkeley--新しい3Dプリンターは光を使ってネバネバした液体をわずか数分で複雑な固体に変える。
 どんなものでもオンデマンドで具体化できるStar Trekデバイスに因んで“replicator”と名付けられた3Dプリンターは、従来の3Dプリンターでできるよりも滑らかで柔軟、複雑なモノを造ることができる。また、既存の物体を新しい材料で包み込むことができる。例えば、金属のドライバーシャフトにハンドルを着けることができる。これは現行のプリンターでは容易ではない。
 この技術は、義肢からメガネレンズまでの製品の設計、製造法を変革する可能性がある、と研究者は考えている。
 ほとんどの3Dプリンターは、他の光ベースの技術も含めて、3D物体を層ごとに積み上げていく。これはエッジに沿った「階段」効果になる。そのようなプリンターは、柔軟なモノを造ることは苦手である。折り曲げ可能な材料はプリントプロセス中に変形し、アーチのようなある形状のモノをプリントするには支持が必要となるからである。
 新しいプリンターは、ある閾値の光に晒されると反応して固体を形成する強粘液に依存している。慎重に計画された光パターン(本質的に「ムービー」)を液体の回転シリンダに投射すると、「直ちに」所望の形状に凝固する。
 「基本的に、市販のビデオプロジェクタを買って、それをラップトップに接続し、一連のコンピュータ画像を投影する。同時にモーターが、3Dプリンティングレジンが中に入ったシリンダを回転させる。レジンの考案法、特に投影される画像をどのようにコンピューティングするかなど微妙な点はあるが、このツールの非常にシンプルなバージョンへの障害は、それほど高くない」とTaylorは話している。
 新しいプリンターは、医者が身体の腫瘍や骨折を見つけるために役立てているCTスキャンからヒントを得た。
 CTスキャンは、X線、他のタイプの電磁照射を身体にあらゆる角度から投影する。送出されたエネルギーのパターンを解析することで、対象の形状が明らかになる。
 「基本的に、われわれはその原理を逆にした。われわれは、対象を計測するよりもモノを造ろうとしているが、実際、それができるようにする基本的な理論の多くは、コンピュータトモグラフィ(CT)の根拠となる理論から読み取った」とTaylorは説明している。
 光をパターン化するには、正確な形状と強度を最適にするために複雑な計算が必要だが、その他に研究チームが直面した他の主要な問題は、わずかな光に晒された時に液体のままである材料の考案法であった。
 硬化させたくない液体は必ず光を透過させなくてはならないので、液体から固体へのこの移行には光露光の閾値が必要である」とTaylorは言う。
 その3Dプリンティングレジンは、液体ポリマに感光性分子を混ぜたもので構成され、酸素で溶解している。光は、酸素が激減したその感光性化合物を活性化する。その3D領域だけで、全ての酸素が使い果たされ、ポリマが「架橋」を形成する、つまりレジンが液体から固体に変わる。使われなかったレジンは、酸素雰囲気でそれを加熱することでリサイクルできる。
(詳細は、https://news.berkeley.edu)