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Science/Research 詳細

Twente大学、完全集積オプトカプラを開発

January, 24, 2019, Twente--トゥエンテ大学(UT)の研究チームは、オンチップ光リンクを利用してエレクトロニクスチップの2つの部分を接続することに初めて成功した。
 光接続は、ハイパワーエレクトロニクスとデジタル制御回路をチップ上で接続する安全な方法である。これまで、標準シリコンチップ技術を使った光リンクは可能ではなかった。UTのPhD学生、Vishal Agarwalは、それを実現することができた。同氏は、エネルギー効率よく、Mbpsデータを供給する微小オプトカプラ回路を実現した。
 これにより、光を使い、別のチップの一部を分離することが可能になる。2つの異なる世界が通信できるが、電気的接続は存在しない。「スマートパワー」チップでは、ハイパワー部分が、デジタル制御回路から隔離できる。この隔離は、医療エレクトロニクスや自動車などのアプリケーション分野で安全な動作を保証する。いわゆる「オプトカプラ」は、このために使用されるが、これまでは、オプトカプラは大きなデバイスであり、実際のチップから分離されていた。オンチップオプトカプラの夢をVishal Agarwalが今回実現した。このオプトカプラは、標準的なチップ技術(CMOS)を使いエレクトロニスと統合可能である。サイズは、約0.008平方ミリメートル、消費エネルギーは微小である。
 チップに光源と光ディテクタを集積することは、簡単なことではない。一般に、CMOSプロセスに導入できない特殊材料が必要になる。シリコンは、それ自体が適切な光源ではない。チップ上のシリコンLEDは、赤外光を放出するものの効率は低い、一方シリコンディテクタは、赤外光ではうまく機能しない。適切な接続には、これはよい出発点ではない。UTPhD学生Satadal Duttaは、シリコンLEDを「逆に」接続することで、よりよい結果が得られることを証明した。アバランシェ効果が、可視光の発光になる。同様の方法で、シングルフォトンがアバランシェを誘導する光ディテクタを作ることができる。結果は、効率的な光接続である。
 原理は有効なので、Agarwalの課題は、LEDとディテクタを最良の方法で制御する電子回路の設計であった、これによりエネルギー消費、スピード、チップ上の空間の利用を最適化する。例えば、最も効率的な仕方で、‘Avalanche Mode LED’ (AMLED) および ‘Single Photon Avalanche Diode’ (SPAD)を動作させるのに必要な電圧、光を無駄にすることのない適切な接続、最高効率達成のためのチップ上の光源と光ディテクタの位置。同氏の論文では、データレート約1Mbps、最小エネルギー消費で、CMOSに完全集積できるオプトカプラが報告されている。多くのアプリケーションに、これはすでに許容できるデータレートであるが、Agarwalによると、少なくとも10倍にすることは可能である。