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ARL、真っ暗闇で兵士をガイドする技術を開発

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December, 11, 2018, Adelphi--米国陸軍研究所(ARL)の研究チームは、新しいタイプのサーマルイメージングカメラを開発した。このカメラを使うことで兵士は、今まで検出できなかった隠れた対象を見ることができるようになる。
 コンピュータ・情報科学ディレクタ、実験物理学者、Dr. Kristan Gurton、センサ・電子デバイスディレクタ、電子工学者、Dr. Sean Huが、この研究のリーダー。
 Gurtonによると、ノンゼロ温度の全ての物体は、スペクトルの赤外部分で熱放射しており、放射の強度は、その温度に比例する。
 熱放射は、昼夜に関係なく、環境に必ず存在している。軍がサーマルカメラを使って、暗闇に隠れていることがよくあるものを見る理由がそれである。
 しかし、赤外放射の強度の他に、メージングで無視されることが多い光特性がもう1つある。偏光状態である。
 「研究者は、人工物体が部分偏光する熱放射を出すことを30年位前から知っていた。例えば、トラック、航空機、ビリディング、車輌など、それに草、土、木や茂みなじの自然物体は、偏光が極めて少ない熱放射を出す傾向がある。われわれは、民間部門の協力を得て、特別な種類のカメラを開発してきた。これは、強度よりも光の偏光状態にのみ基づいて画像を記録することができる。この偏光情報を加えることで、兵士は、標準的なサーマルカメラではこれまで見ることができなかった、隠された物体を見ることができるようになる」とGurtonは説明している。
 Gurtonは、カメラハードウエアの開発に取り組んでいる、一方Huは、熱偏光イメージングが供給する追加情報を最大限に活用できるように設計されたソフトウエアに取り組んでいる。
 Gurtonによると、軍は常にロバストな熱画像プログラムを持っているが、同氏の研究はその技術をさらに進めようとする自然な成り行きである。
「われわれが研究している兵士に特有のアプリケーションに含まれるものは、隠された仕掛け線やブービー爆弾の発見、カムフラージュ標的の発見能力強化、埋められた地雷や簡易爆発物の発見、ミサイル、迫撃砲、無人航空機、その他空からの脅威を標的にし追跡する能力の強化である」(Gurton)。
 チームのごく最近の素晴らしい発見は、真っ暗闇の中で特定人物被写体を検出、特定する能力を含む。
 「ARLでのわれわれの研究の前には、夜、人間を見る唯一の方法は、標準的なサーマルイメージングを使うことだった。残念なことに、そのような画像は”ゴースト”効果に悩まされ、人物同定に必要な詳細な顔の特徴が失われる。しかし、熱画像に偏光情報が含まれていると、つまりサーマル偏光画像があると、細かい顔の特徴が現れる。すなわち、顔認識アルゴリズムが適用できるのである」。
 サーマル偏光カメラシステム構築の技術的な難しさのために、2005年にGurtonと Huがこの新しい現象の研究に関与する前には、ほとんど研究は行われなかった。
「われわれの主目的は、現在最先端のサーマルカメラを使って見るために、発見が困難、不可能な物体を発見できる新しいタイプのカメラシステムの開発であった」。
「われわれは、研究グレードと高耐久化商用グレード偏光カメラを開発する2面アプローチで民間部門と協力している。われわれの計画は、将来、DODに導入されるサーマルイメージングシステムの全てが、簡単なボタン一押しで実行できる偏光機能を持つことである」。
 偏光イメージングを扱う、研究者の主要民間パートナーは、Polaris Sensor Technologies, Incである。
 ARLとPolarisとの関係は、軍の中小企業技術革新制度プログラム(SBIR)を通じて正式に決定している。
「Polarisとの関係の目標は、技術的な、新しいサーマルイメージングカメラで以前の試みを苦しめた、問題の全てを乗り越えることである。われわれは、この新技術実装以来成功を収めてきた」。
 Gurtonは「1998年に、ARLに実験物理学者として雇用されて直ぐ、退職した研究者からたくさんの古い1980年代の年代物サーマルカメラを受け継いだ。わたしは、熱放射研究に関心がわいてきた、徹底的に研究されてこなかったことについて、新しく斬新なことをしたかった。サーマル偏光イメージング実装を試みて失敗したことを記述した1980年代の古い技術論文をいくつか見つけた」と語っている。
 以前の研究に携わったDODと民間部門両方の様々なエンジニアによると、過去の問題点は極端に複雑な設計が制限要因であり、これにより非常に多くのピクセル記録ミスが生じ、システムが使い物にならなかった。
 「われわれは、それらの教訓から学んだ」。
 以前の研究の主要な問題は、二要素である。まず、初期の研究はあまりに複雑すぎた。
 「一般に、偏光画像は、実際には、2つの完全に記録された画像からの引き算である。2つの画像にわずかに記録ミスがあると、機能しない。われわれは、一致しなければならないピクセルの記録ミスを最小1/10を目標に設定した。現在、Polaris Sensor Technologies, Incは通常、ピクセル記録ミスが1/20以下のシステムを開発している」。
 Gurtonによると、将来的な商用化は、早期のマイクロピクセルFPAアプローチ実装をともなう。これは非常に難しく、依然として技術的には極めて挑戦的である。
 困難ではあるが、Polarisは、非冷却マイクロボロメターを使うマイクロピクセルベースのカメラの製造に成功し、軍のフィールドテストとドローンで実証している。
 この技術の実現に関して、研究チームはカメラプラットフォームの小型化、システムを無理のない価格にするために積極的に取り組んでいる。
(詳細は、https://www.arl.army.mil)