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ケタ違いに低いX線露光で生体1分子運動計測に成功

December, 3, 2018, 東京--東京大学大学院新領域創成科学研究科の佐々木裕次教授(産総研・東大 先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリ兼務)、および高輝度光科学研究センターの研究グループは、大型放射光施設で単色X線を用いた回折実験において、回折X線強度が標識した金ナノ結晶の運動のために明滅する現象(Blinking X-ray: X線ブリンキングと命名)を世界で初めて確認し、その自己相関解析をすることで、回折X線スポットの運動速度を定量的に評価できることを示した。
 また、この単色X線を用いた新しい計測手法は、世界で唯一1分子内部運動の測定が可能であったDXTに比べ、回折X線ブリンキング観察に必要なX線露光量が1/1,700であることを明らかにした。したがって、回折X線ブリンキング観察を用いれば、非常に低露光量での単一分子動態計測が可能となる。さらに、この低露光量という特長を生かすことで、実験室X線光源で1分子動態計測がミリ秒レベルで可能であることも実証した。
 近年、タンパク質1分子の観察は驚異的な発展を遂げており、生体内における分子ダイナミクスを高速・高精度に観察することが可能となってきた。従来のX線1分子追跡法(Diffracted X‒ray Tracking: DXT、では、目的のタンパク質分子の特定部位に金ナノ結晶を標識し、そのナノ結晶からの回折X線スポットの位置変化を観測することで、マイクロ秒以下の高時間分解能、かつ、ピコメートルの精度で、タンパク質1分子の内部運動を捉えることができるため、DXTを用いたDNAや巨大膜タンパク質の1分子内部運動の計測に成功している。
研究成果は、Scientific Reportsに発表された。
(詳細は、www.aist.go.jp)