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近赤外分光法で軟骨障害を正確に評価

November, 5, 2018, Joensuu--変形性関節炎は、関節痛や移動の制限により身体障害を起こす病気であり、特に高齢者を襲う。病気の進行は一般に緩慢であり、数十年にわたることもある。しかし、外傷後の変形関節炎は、あらゆる年齢の人々を襲い、例えば、転倒の結果、関節の外傷で始まる。病気は、膝など接合関節に最も多い。
 変形関節炎には現在、治療はないが、軟骨損傷の早期発見が、薬物や手術により病気の進行を止めることができる。従来、関節の健康は患者の兆候、関節の可動性に基づいて診断される、必要ならX線やMRIをによって診断する。こうした検査に基づいて、関節修復手術が、関節鏡検査中に行われることもある。適切な処置の選択の決定は、手術中に行われる。ここでは、関節の健康は視覚的に評価される、また金属フックで軟骨表面を触診し評価される。これらの技術は主観的であり、医師の経験に依存し、したがって処置の結果に影響を及ぼす。
 関節軟骨や軟骨下骨構造および骨組成評価のための関節鏡検査近赤外(NIR)分光プローブが、イースタンフィンランド大学でPhD論文の一巻として開発された。そのプローブにより、軟骨損傷検出強化が可能になる、また周囲組織の完全性評価もできるようになっている。関節組織の健康について包括的な情報の利用は、関節鏡治療介入の処置結果を大きく改善する。
 以前は、近赤外分光技術は、例えば、穀粒品質評価に利用されていたが、その臨床応用はまだ稀である。しかし、その技術の臨床応用が、今できるようになっている。ニューラルネットワークのような最先端の数学モデリング法とともにコンピュータパワーの利用が改善されたためである。これらの方法により、近赤外光の吸収と組織の特性との関係が測定できる。これにより、関節軟骨堅さや軟骨下骨ミネラル濃度の信頼できる計測が可能になる。これら組織特性の変化は、変形関節炎症の予後指標である。
 近赤外分光法は、組織のイメージングには適切でないので、OCTや超音波イメージングなどの関節鏡検査に適用可能なイメージングも、研究で用いられた。これらの技術は、以前には、特殊な1㎜径カテーテルを介した血管内イメージングで適用されていた。したがって、それらは狭い関節キャビティに適している。研究は、軟骨損傷得の評価用のこれらの技術の信頼性を従来の関節鏡評価と比較した。
 「OCTは、従来の関節鏡や超音波イメージングよりも優れていた。従来の関節鏡評価に対して、OCTや超音波イメージングは軟骨の内部構造情報を提供し、例えば、軟骨下骨からの軟骨剥離が検出できるようになる」と研究者Jaakko Sarinは説明している。