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世界最速カメラ、10兆フレーム/秒で時間を凍結して超高速現象を撮る

October, 26, 2018, Pasadena--CaltechのLihong Wangをリーダーとする超高速イメージングスペシャリストグループは、T-CUP、世界最速カメラを開発した。T-CUPは、1秒に10兆フレームを撮れる。この新しいカメラは,文字通り時間を凍らせて現象を、光でさえも超スローモーションで見ることを可能にする。
 近年、非線形オプティクスとイメージングにおけるイノベーション間の結合により、生物学や物理学の動的現象の顕微分析で新しい、非常に効率的な方法が可能になった。しかし、こうした方法の可能性を役立てるには、リアルタイムで、つまり極めて短い時間分解能、シングル露光で画像を記録する方法が必要である。
 現在のイメージング技術を使うと超短パルス計測は、何回も繰り返されなければならない。不活性サンプルの中には適切なものもあるが、もっと脆弱な他のサンプルでは、これは不可能である。例えば、ガラスのレーザ彫刻は、許容できるのはレーザの1パルスのみ。結果は1ピコ秒(ps)で撮らなければならない。そのような場合、イメージング技術は、全プロセスをリアルタイムで撮ることができなければならない。
 圧縮超高速写真(CUP)は、出発点としては良かった。この方法は、1秒に1000億フレームでアプローチしたが、フェムト秒レーザ組み込みに必要な仕様を満たせなかった。このコンセプトを改善するために、新しいT-CUPシステムが開発された。ベースにしたのはフェムト秒ストリークカメラで、これはトモグラフィのようなアプリケーションで使われるデータ取得タイプも搭載している。
 「フェムト秒ストリークカメラを使うだけでは、画像品質に限界があることは分かっていた。したがってこれを改善するために、静止画像を撮るもう1つのカメラを追加した。フェムト秒ストリークカメラで撮った画像と統合すると、いわゆるラドン変換を使って、10兆フレーム/秒で記録しながら、高品質の画像を撮ることができる」とCaltech Optical Imaging Laboratory (COIL)ディレクタ、Lihong Wang教授は説明している。
 世界最速のリアルタイムイメージング速度を設定することでT-CUPは、バイオメディカル、材料科学および他のアプリケーション向けに新世代の顕微鏡機能を強化する。このカメラは、基本的な変化を示しており、前例のない時間分解能で光と物質の相互作用の分析を可能にする。それを初めて使った時、その超高速カメラは、リアルタイムでフェムト秒レーザのシングルパルスの時間的集束を捉えることで新たな地平を拓いた。このプロセスは、400fs間隔で25フレーム記録され、光パルスの形状、強度、傾斜角の詳細が明らかになった。
 論文の筆頭著者、Jinyang Liang、その研究当時COILのエンジニアは、「それ自体が功績だが、われわれはすでに速度を100兆フレーム/秒まで高速化する見通しをつけている」と言う。そのような速度により、光と物質の相互作用の未知の秘密が必ず明らかになる。
(詳細は、http://www.inrs.ca)