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TUT、ランダムレーザを利用してローコストレーザを開発

October, 22, 2018, Tampere--国際研究チームは、安価なレーザ光源に道を開く新しいランダムレーザ設計を実証した。研究チームは、世界で初めて、外部電圧を印可することでレーザの出力ビームの方向を制御することができた。タンペレ工科大学(TUT)が調整役となったプロジェクトの結果は、Nature Communicationsに発表された。
 従来のレーザは、利得媒体と光学キャビティで構成されている。利得媒体は、自然発生的に光を放出し、さらにそれを誘導放出で増幅する。最も単純なキャビティには、一般に対向する2つのミラーがあり、利得媒体を封入している。それにより、放出光は強制的に、ミラーの間で前後に往復させられる。利得媒体を通じたそのようなフィードバックは、キャビティの共振周波数で自続発振となる。その一部がレーザ出力ビームとして抽出される。そのような設計は極めて有用で多様性があるが、コンポーネントの精密アライメントが必要になる、作製が比較的高価になる。
 ランダムレーザは、利得と散乱センタを持つランダム媒体で構成されており、多くのランダムパスに沿って循環散乱光が、キャビティレスレーザ発振をサポートする十分なフィードバックを供給する。とは言え、不規則な特性のために、ランダムレーザの光放出が不特定方向になりがちで、ビームプロファイルがスパイキーな横方向になる。出力がそのように低品質であるため、ランダムレーザの利用は、所望の場所に光を供給できなければならない多くの重要アプリケーションでは制限されている。
 フィンランド、タンペレ工科大学、イタリアの”Roma Tre”大学、サザンプトン大学(UK)、ケース・ウェスタン・リザーブ大学(米国)の研究チームは、ランダムレーザの新しい設計を実証した。この設計では、光誘導ソリトン導波路が発振特性を改善しレーザ出力を、良好なプロファイルで、特定の方向にガイドする。そのようなレーザは、トランジスタのような挙動を示す。これは、ソリトンがシステムを動作させる、最も注目すべきは、外部電圧によって光発振の方向がコントロールできるからである。
 ランダムレーザの制約を克服するために研究チームは、ネマティック液晶オールオプティカル導波路とランダムレーザ発振とを組み合わせた。液晶は、利得を得るために色素分子をドープしており、2つの異なる役割を果たす。弱い非共振連続波レーザビームに対する非線形的な応答に依存することで、ネマティコンとして知られる光誘起ソリトン導波路が誘起される。色素分子が、それに共鳴するパルスレーザで励起されると、散乱特性は、ランダムレーザ発振に十分なフィードバックとなる。研究チームは、そのようなネマティコンアシストランダムレーザが一般的な特性を持つことを実証した、レーザ発振のための励起エネルギー閾値、自然放出バックグラウンドから出る狭いスペクトルピークである。さらに、ソリトン導波路は生成された光を集め、それを滑らかな空間構造で出力に導く。
 「こうした基本的な特性以外に新種のランダムレーザには、従来のレーザに対するいくつかの利点がある。例えば、近赤外ネマティコンはレーザ発振の閾値を下げることがわかった。言い換えると、ソリトンをON/OFFすることでシステムを発振させ、トランジスタのような動作をさせられる。ここでは、弱い信号(ネマティコン)が強い信号(レーザ出力)を制御する」と実験責任者、Sreekanth Perumbilavil, PhD学生は説明している。
 「利得媒体そのものに働きかけることで、外部電圧でネマティコンを制御し、レーザ放出の出力方向を操作することができた。これは、電圧でルーティングする初のランダムレーザである」とGaetano Assanto客員教授はコメントしている。
(詳細は、http://www.tut.fi/en/)