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非見通し線光通信媒体にテラヘルツスペクトル

October, 10, 2018, Washington--成長が続く通信需要をサポートするための帯域が世界的に不足してきている。これは、一部には「モノのインターネット」(IoT)のためである。
 IoTは、トースターから玄関のドアまで、あらゆるものをオンラインアクセス可能にする。また、データトラフィックの爆発を引き起こした。新しい範囲の周波数テラヘルツ(THz)スペクトルが間もなく利用可能になる。APL Photonicsに発表された論文は、多様な状況、環境でのデータ伝送にTHzキャリア波の利用可能性を実証している。これには、波が跳ね返り、壁や他の物体で反射される非見通し線アプリケーションも含まれる。
 研究グループ、ブラウン大学のDaniel Mittlemanは、「この分野の多くの研究者は、間接的な、つまり非見通し線経路に依存するリンクは不可能と考えていたが、われわれの研究は、これが必ずしも正しくないことを示している」と説明している。
 THz照射は、95GHz以上の周波数であり、FCCは、まだそのサービスルールを定めていない。スペクトルのこの領域の帯域は、将来のワイヤレス技術に利用できるが、パワー、アーキテクチャ、ハードウエア、データキャリア波のその他の基本問題の要件についてはほとんど知られていない。
 THz照射は、Bluetoothや標準Wi-Fiなどの一般的なワイヤレスキャリア波よりも約100倍高い周波数であり、フォトンエネルギーが高い。このタイプの照射の安全性について懸念を表明する人々もいるが、これらの波は組織深部に浸透しそうにない、特にワイヤレスアプリケーションに使用されるパワーでは、ほとんどの人は、安全性は問題ではないと考えている。
 研究グループは、100、200、300および400GHzでデータ伝送を計測した。使ったのは、多様な実世界アプリケーションで、データ転送率1Gb/sリンク。変調されたベース信号を所望の周波数にアップコンバートするために研究グループは、周波数多重チェーンを使用するTHzトランスミッタを設定した。また、多様な屋内および屋外障害の周りに、パルス信号を検出するために、受信器ダウンストリームも設置した。屋外の計測は、FCCが承認した実験ライセンスにより可能になった。
 THz信号が直接レシーバに向かう場合、見通し線計測を行った。もう1つは、信号は検出前に強制的に物体から反射、つまり跳ね回るようにされた。この非見通し線実験では、信号を反射させるために、軽量コンクリートブロック、ドア、金属フォイル、滑らかな金属プレートを含む実際の物体を使った。
 主要な実験で、信号源と受信器は、相互に見えないところに設置された。信号は、仕切り壁で2度跳ね返され、受信器で簡単に検出された。この研究は、以前の見込みに反して、このタイプのキャリア波で、非見通し線利用が可能であることを実証した。すなわち、THz照射は今後のワイヤレス技術で役割を果たす可能性がある。