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チャネルロドプシンであるChrimsonの立体構造を決定

October, 5, 2018, 東京--東京大学大学院理学系研究科の濡木理教授らの研究グループは、チャネルロドプシンの中でも最も長波長である590 nmに吸収波長ピークを持つChrimsonと呼ばれるタンパク質の立体構造を決定することに成功した。
 この構造と変異体解析から、チャネルロドプシンの吸収波長ピークは、発色団レチナールの近傍の特殊な環境によってもたらされていることがわかった。さらに、これらの情報をもとに、野生型のChrimsonにアミノ酸変異を導入することで吸収波長がさらに長波長にシフトした改変型Chrimson(ChrimsonSA)を作成することに成功した。
 光を受容するタンパク質にはさまざまな種類が存在する。その中でも藻類の光受容に関与するタンパク質のチャネルロドプシンは、特定の波長の光を受けることで細胞外側から細胞内側へと受動的にイオンを透過させるという性質を持っている。この性質を利用することで特定の神経細胞の活動を光によって制御することができることから、チャネルロドプシンは脳の複雑なはたらきを調べるためのツールとして広く使われている。
 今回の成果は光受容タンパク質の吸収波長シフトに関する基本的理解につながるものである。また、長波長の光は組織透過性が高い特徴を持つことから、今回作成した改変型Chrimsonは組織のより深い位置にある神経細胞を活性化するような用途において用いられることで、脳の複雑な機構を解明するためのツールとして役立つことが期待される。
 研究成果は、Nature Communicationsに発表された。
(詳細は、http://www.s.u-tokyo.ac.jp)