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コンパクトファイバレーザ、ウエアラブル技術や内視鏡に用途

October, 4, 2018, London--光ファイバセンサに新たな工夫を加えることで中国の研究チームは、スマートな光音響イメージング技術を開発した。潜在的なアプリケーションは、ウエアラブルデバイス、計測器、医療診断である。
 Jinan University(曁南大学)フォトニクス技術研究所主任研究者Long Jingは、新しいファイバレーザベース超音波センサを発表した。
 新技術は、光ファイバ技術を利用して光音響イメージング用の新しいセンサを実現している。ファイバオプティック超音波検出を使い、熱弾性効果によりレーザパルスで音響効果を利用する。これは、弾性ひずみの結果として起こる温度変化の効果。
 「従来のファイバオプティックセンサは、位相計測による高感度を利用して微弱信号を検出する」と同氏は説明している。これら同種のセンサは、低周波数(kHz)音響波の検出に軍事アプリケーションで利用されている。しかし医療目的で一般に使用されるMHz周波数の超音波では上手く機能しないことが分かっている。超音波は、一般に球面波で伝搬し、光ファイバとの相互作用長が極めて限られているからである。新しいセンサは、特に医療イメージング向けに開発されており、今日、用いられている圧電トランスデューサよりも高感度である。
 研究グループは、特殊超音波センサを設計した。これは、本質的にコンパクトなレーザを8µm径のSMFコアに組み込んでいる。長さはわずか8㎜。レーザ構築には、2つの高反射グレーティングミラーをファイバコアにUV描画し、光帰還が得られるようにした。
 このファイバは、イッテルビウムととエルビウムを添加して、1530nmで十分な光利得が得られるようにした。ポンプレーザとして980nm半導体レーザを利用している。
 研究チームのYizhi Liangによると、線幅kHzオーダーのファイバレーザは、高SNRであるのでセンサとして利用できる。
 超音波検出は、サイド入力超音波がファイバを変形し、レーザ周波数を変調するので、複合技術の恩恵を受けている。 
 「周波数シフトを検出することで、音響波形を再構築できる」(Liang)。
 チームは、その超音波信号を復調しない。従来の干渉計ベースの方法、付加的周波数ロックを使って元の情報を抽出するのではない。そうではなく、別の方法、2つの周波数混合の結果が検出される「自己ヘテロダイン」を利用する。ここでは、ファイバキャビティの2つの直交偏向モードによって得られるRFドメインのビートノートを計測する。この復調は本質的に安定した信号出力を保証する。
 ファイバレーザベースの超音波センサにより、光音響顕微鏡で使用する機会がえられる。研究チームは、サンプルを照射し、超音波信号を励起するために532nmに集束したナノ秒パルスレーザを使用した。光誘起超音波を検出するために、センサを生物サンプル近くの静止位置に置いた。
 「レーザスポットをラスタスキャンすることで、マウスの耳の血管、毛細血管の光音響画像が得られる。この方法を使って、他の組織の構造的撮像により、他の励起波長を使うことで酸素分布を機能的にイメージングすることもできる。これは多様な標的組織の特徴的な吸収スペクトルを利用したものである」とJinは説明している。
 光ファイバは、微小、軽量、本質的にフレキシブルであるので有用である。
 「われわれのレーザセンサ開発は、内視鏡やウエアラブルアプリケーションの可能性があるので、非常に励みになる。しかし、現在の商用内視鏡製品は、一般にミリメートル径であり、これは苦痛の種になり、空洞気管内で上手く機能していない」と同氏は付け加えている。