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LLNL、ガラスオプティクスを3Dプリント

April, 5, 2018, Vancouver--ローレンスリバモア国立研究所(LLNL)の研究チームは、現在市場で入手できるガラス製品に匹敵する光学品質のガラス3Dプリントに初めて成功した。
 Advanced Materials Technologiesに発表された研究成果によると、LLNL研究チームは、研究所で開発されたインクから小さなテストピースのプリンティングに成功した。特性は、「商用光学グレードガラスの範囲」である。
 研究チームによると、ガラスの屈折率は、熱履歴の影響を受けやすいので、溶融相からプリントしたガラスが確実に所望の光学性能になるのは難しい。LLNL開発の材料をペースト形状に堆積し、次にプリント全体を加熱してガラスを造ると均質な屈折率になり、光学機能を劣化させる光学歪を除去できる。
 「溶融ガラスからプリントしたコンポーネントは3Dプリンティングプロセスからの特性を示すことがよくある。またたとえ表面を研磨しても、バルク材料内にまだプリンティングプロセスの証拠が見られる」とプロジェクトの主席研究者、LLNL化学エンジニア、Rebecca Dylla-Spearsは指摘している。「このアプローチにより、オプティクスに必要な均一な屈折率が得られる」。
 特注インクは、シリカおよびシリカ-チタニアガラス形成を目的としたものであり、これにより研究チームはガラスの光学的、熱的、機械的特性を調整することができる、とDylla-Spearsは説明している。研究では、概念実証として小さく、単純な形のオプティクスをプリントしたが、Dylla-Spearsによると、その技術は究極的には、ガラスオプティクスを使うどんなデバイスにも適用可能。また、これまでは従来製法では得られなかった幾何学的構造、組成変化のオプティクスにできる。たとえば、勾配屈折率レンズは研磨してフラットにでき、従来の湾曲レンズに使用されていた、より高価な研磨技術に取って代わる。
 「積層造形法(AM)により、われわれはこれまでは得られなかった光学材料を組み合わせる新しい自由度を手に入れることができる。過去には存在しなかったデザイン空間が開かれ、材料内で光学形状と光学特性の両方の設計が可能になる」。
 LLNLのチームは、様々な材料成分を混ぜ、パタニングする方向に進んでいる。これは、材料特性を制御し、勾配屈折率レンズを作製するためである。LLNLは、同技術の特許を申請しており、すでに大手ガラスメーカーが興味を示している。