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光触媒ナノ粒子における光照射後100fsでの電子の動きをXFELで観測

July, 11, 2017, 東京--東京農工大学大学院工学研究院の三沢和彦教授、京都大学大学院理学研究科の鈴木俊法教授、理化学研究所放射光科学総合研究センターの矢橋牧名グループダイレクター、高輝度光科学研究センターの片山哲夫研究員らの共同研究グループは、光触媒としてガラスやテントの汚れ防止、殺菌などに用いられるアナタース型酸化チタンナノ粒子に光を照射した直後の超高速な電子状態の変化を、X線自由電子レーザ(XFEL)施設SACLAを用いて観測することに成功した。
 10兆分の1秒(100 fs)程度で起こる変化を観測したことで、電子が酸化チタン結晶のどこから、どのようなプロセスで生じるかという、これまで未知だった光触媒反応の初期過程を明らかにした。これは反応効率を議論するうえで非常に重要な成果。
 研究グループは、これまでにX線自由電子レーザと紫外光レーザを用いた時間分解X線吸収分光装置を構築し、様々な物質の光応答特性を観測してきた。試料は水に分散させた光触媒酸化チタンナノ粒子を用い、内径100μmの石英管から水鉄砲のように圧力をかけて噴出させる。そこにフェムト秒(fs)紫外光レーザパルスを入射し、光反応をスタートさせる。次にほんの僅かな時間だけ遅らせて、同様にフェムト秒X線レーザパルスを入射させ、その時に試料の酸化チタンによって吸収されたX線の量を測定する。X線の波長を変えながら測定することで、どの波長でどのくらいX線を吸収したかという吸収スペクトルが得られる。X線吸収スペクトルは、酸化チタン結晶内のチタン原子周りの電子分布や原子間結合距離を反映する。紫外光とX線のレーザパルスの間隔を精密にずらしながら測定することで、光反応開始後の変化の様子をリアルタイム観測することが可能。
 今回はさらに、研究グループの片山、矢橋らが開発した紫外光とX線のレーザパルスの間隔に生じるゆらぎを正確に評価する手法を組み合わせることで、時間分解計測の精度を大幅に向上させることに成功した。
(詳細は、www.tuat.ac.jp)