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数世代にわたり個々の細胞にレーザでタグ付け

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June, 20, 2017, St. Andrews--セント・アンドルーズ大学(University of St Andrews)、Marcel Schubert、Malte C. Gatherによると、細胞に導入された蛍光プラスチックビーズはマイクロレーザとして機能する。これにより個々の細胞の特定が可能になり、1つの世代から次の世代まで追跡できる。これには、ガン細胞、脳細胞が含まれる。
 人の身体に存在する数兆の細胞の中から個別細胞を追跡する機能は、多くの重要な生体医療問題の理解促進にとって重要である。
 最近開発された細胞トラッキング(追跡)法は、個々の細胞内部に導入された微小な蛍光プラスチックビーズをベースにしている。これらのビーズは直径約15µm、明るい蛍光グリーン染料をドープしたポリスチレンでできている。自然のファゴサイトーシス(食作用)が、ビーズを免疫細胞に効率よく送り込めることが証明されている。ビーズは、そこでマイクロ共振器として機能する(ビーズは光を捉え、その周囲に沿った円形パスに光を押し込んで増幅する)。
 光学的に励起されると、ビーズの中のグリーン染料による光学利得は生きた細胞内でレーザ発振し、これによってそれらの検出が可能になる。さらに、レーザの発振周波数は、ビーズサイズに依存するので、固有のサイズを変えることで独自の、バーコードのようなレーザスペクトルを生成し、何千もの他のタグ付けされた細胞の中から個々の細胞の特定が可能になる。固有のタグの数は、例えばビーズサイズ分布の最適化、細胞当たりのビーズ数を増やすことで増やせる。しかし、セルがマイクロレーザのロバストで効率的な取り込が確実になることが、この方法のさらなる発展とアプリケーションにとって必須となる。
 ごく最近、研究チームは、いくつのマイクロレーザを、異なるタイプの細胞が吸収できるかを判断する高スループット方法を発表した。その際、以前考えていたよりもはるかに広い範囲の細胞が、細胞内レーザの標的にできることが分かった。多くの細胞は、非食細胞と考えられていた、つまりそれらは自然に大きな物質を取り込むことはないと考えられていたので、これは驚きである。
 原型ガン細胞やニューロンのような細胞株も含め、ほとんどの細胞タイプには、マイクロ共振器表面をリブソマール導入剤(例えば、Lipofectamine 3000)でコーティングすることで、取り込みが大幅に改善されることが分かった。この表面改良により多数の細胞にタグづけすることができる、現在では数時間で数千から数万であるが、さらに増やすことが可能である。重要なことは、マイクロレーザが、移動中だけでなく、細胞分裂のプロセスを通じてタグづけされた細胞内部にとどまり続けることの発見である。マイクロレーザは、こうして1つの世代から次の世代へ送られ、この移行中の発振スペクトルに変化は認められなかった。この結果は、適合する細胞を幅広くスクリーニングするための基礎になる。さらに、この実験で細胞が、細胞サイクルや一般的な移動挙動を含め、通常の特性を維持していることを考慮すると、マイクロレーザの存在は、細胞内の非常に複雑なプロセスに最小限の影響しか与えないと考えられる。
 要約すれば、小さなマイクロレーザの個別細胞への導入に基づいた、新しい生体医療タグ付けとトラッキング技術を開発した。さらに、このアプローチは、個別細胞のタグ付けやトラッキングを数世代にわたり可能になる。
(詳細は、www.spie.org/ SPIE news)