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グラフェン-CMOS集積センサで波長検出範囲拡大

June, 13, 2017, San Jose--ICFOのGraphene Flagship研究チームは、グラフェンをCMOS ICに集積できることを示した。
 シリコンベースCMOS技術が世界を形作ってきたことは間違いない。コンピュータ、スマートフォン、デジタルカメラを含め、今日人々が依存しているほとんどのエレクトロニクスをCMOS技術が可能にしている。しかし、エレクトロニクス産業で前進し続けるには、新技術が開発されなければならない。またこの技術の主要な特徴はCMOSと他の半導体とを集積する能力である。
 Nature Photonicsに発表された論文で、研究チームはこのグラフェン-CMOSデバイスと量子ドットとでフォトディテクタアレイを形成し、高解像度イメージセンサを作製した。このデバイスをデジタルカメラとして使用するとUV、可視光、赤外光を同時に検出できる。これは、このデバイスの利用の仕方を示す一例に過ぎない。他にはマイクロエレクトロニクス、センサアレイ、低消費電力フォトニクスがある。
 層形成とパタニングアプローチを使い、CMOSウエハ上にグラフェンと量子ドットのハイブリッドシステムを実現することによりFlagshipチームは簡便なソリューションで複雑な問題を解決した。まずグラフェンを堆積し、次にパタニングによってピクセル形状を定め、最後にPbSコロイド状量子ドット層を加えた。このシステムの光応答は、フォトゲーティング効果に基づいている。これは量子ドット層が光を吸収し、それを光生成ホールまたは電子としてグラフェンに移送することで始まり、そこでは2つのピクセルコンタクト間に印加されたバイアス電圧によってホール/電子が流れる。光信号は次にグラフェンの伝導性の変化によって検出される。これは、グラフェンの高電荷移動によってデバイスが高感度になるためである。
 Stijin Goossensは、「このグラフェン-量子ドットCMOSイメージセンサの実現に複雑な材料加工、成長プロセス必要なかった。室温、環境条件下で容易に、安価に製造できることを証明した。これは、製造コストの大幅低減を意味する。さらに、その特性により、これはCMOSタイプの集積回路とともに柔軟な基板にも簡単に集積可能である」とコメントしている。