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世界最強のX線レーザビームで「分子ブラックホール」を生成

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June, 6, 2017, Newton--X線が原子の内部から電子を剥がして叩きだすとき、その近隣から奪い取るものも多い。これは、ウイルス、バクテリア、複合材料全体の高解像度イメージングの進歩に寄与する新たな洞察である。
 エネルギー省(DOE) SLAC国立加速器研究所の研究チームは、世界最高強度のX線レーザの最大強度を小さな分子に集束した。単一レーザパルスが、分子の最大原子の内部から数個の電子を残して全ての電子を引きはがすと、空洞が残り、それが分子の残りから電子を引き込み始めた、まるで物質のらせん状ディスクを飲み込むブラックホールのようだった。
 30フェムト秒内で、その分子は50以上の電子を失った。これはもっと強度の小さな、孤立した原子を使った以前の実験に基づいた予想を超えていた。続いてその分子は破裂した。結果は、Natureに発表されている。
 研究者がその結果から得られる基本的な洞察は、SLAC LCLS X線自由電子レーザをからの最高強度、最高エネルギーのX線パルスを使って、実験計画と実験の解釈を改善する必要があると言う点である。
 このような超高強度を必要とする実験には、ウイルスやバクテリアなど、個別の生物学的対象の撮像が含まれる。また、このような実験は、極限状態で物質の挙動を研究するためにも使用でき、先進技術アプリケーションのために複合分子における電荷ダイナミクスをよりよく理解するためにも使われる。
 実験はLCLSのコヒレントX線イメージング装置(CXI)で行われた。LCLSで達成可能な最高のエネルギーのX線、硬X線で、レーザパルスがサンプルを破壊する直前のサンプルからのデータを記録する。
 X線の強度についてLCLSスタッブ研究者、Sebastien Boutetは、「地球に注ぐ全太陽光を親指の爪に集束して得られる強度よりも約100倍の強い」と説明している
 この研究のために研究チームは、特別なミラーを使ってX線ビームを直径わずか100 nm超の点に集束した。注目したのは3つのタイプのサンプル。個別キセノン原子は、それぞれ54個の電子を持つ。それぞれが単一のヨウ素原子を含む2種類の分子は53個の電子を持つ。
 このサイズ程度の重原子は、生物化学反応では重要である。研究者は、イメージングや多結晶アプリケーションのコントラストを強化するために生物学的サンプルに重原子を加えることがある。しかしこれまでは、超高強度CXIビームが、この重い原子の分子にどのように影響を及ぼすかを調べたものはいなかった。
 研究チームは、キセノンまたはヨウ素原子の最深部の電子を選択的に剥がすためにCXIパルスのエネルギーを調整し、「空虚な原子」を作り出した。よりエネルギーの小さなX線を用いた以前の研究に基づいて、研究チームは、原子の外側部分からの電子カスケードが落ち込んでその空虚を埋めると考えた。これは、後から来るX線によって跳び出すだけである。それによって、最も強く結合したわずかな電子が残るだけとなる。実際、独立したキセノン原子と、分子の中のヨウ素原子の両方でそれが起こった。
 しかし分子では、そのプロセスはそこで止まらなかった。ヨウ素原子は、ほとんどの電子を失った後、強い正電荷を持っており、近接の炭素や水素原子から電子を吸い込み続け、さらにその電子も1つ1つ放出した。
 独立したヨウ素原子の場合のように、47個の電子を失うのではなく、より小さな分子の要素は54個を失った。これには、近隣から奪った電子も含まれる。通常予想されるよりも高い損傷と破壊のレベルと言うよりも、全く違った性質になった。
 今日までに分析したデータで、理論モデルと観察された挙動とは極めてよく一致しており、次のより複雑な系の研究に自信を与えるものである。
(詳細は、https://www6.slac.stanford.edu/)