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超極微量試料の化学構造を決定できる量子センシングNMR

June, 5, 2017, つくば--筑波大学の研究チームは、他の機関との共同研究により、ダイヤモンドの単一のNVセンタという室温動作・ナノ空間分解能を持つ量子センサを用いた量子センシングNMR(核磁気共鳴)を開発し、20ゼプトリットルの検出体積から、1Hおよび19FのNMRのそれぞれにおいてケミカルシフトの観測に成功した。
 研究チームは、筑波大学知的コミュニティ基盤研究センター 磯谷順一名誉教授、量子科学技術研究開発機構 高崎量子応用研究所(QST高崎研)小野田忍博士、住友電気工業株式会社 アドバンストマテリアル研究所 角谷均博士らは、シュツットガルト大学・マックスプランク研究所Jörg Wrachtrup教授のグループで構成。
 NMRは化学構造同定の有用な手法として化学・生物学・医学・物質科学に用いられているが、感度が低く大量の試料を必要とするという難点があった。一方、ダイヤモンドの単一NVセンタの電子スピンを1量子ビットの量子センサとして用いることにより、室温でナノスケールの空間分解能を持つナノNMRが示されている。しかし、NVセンタを用いるナノNMRは水素かフッ素かというような核種の区別がつくのみで、本来NMRが得意とする化学構造同定には程遠い周波数分解能(~2kHz)にとどまっていた。研究では、3T(テスラ)の高磁場を用い、15
み核スピンをメモリに用いることによりセンサの周波数分解能を1mHzへと改善した。さらに、量子コンピューティングへの応用に開発されてきた量子操作技術・量子アルゴリズムを駆使し、ケミカルシフトの観測に成功し、通常のNMRが必要とする試料より11桁少ない超極微量の試料の化学構造同定という革新的手法(量子センシングNMR)の開発に成功した。
 研究成果は、Science誌(オンライン版)に掲載されている。
(詳細は、www.jst.go.jp)